父は若いころ、すぐに怒る人だった。 自動車の運転をすれば前の車のマナーに怒り、仕事では「きっちり仕上げない人」に対して怒り、自分の書斎の物を動かす家族にも怒った。 イライラがデフォルトのようだった。 学生の時の担当教官も、すぐに怒る人だった。 論文の読み込みが甘い学生を厳しく叱責し、発表に対してはパワハラまがいの容赦ない非難を浴びせた。 他の研究室で、その様子が噂になっていたほどだった。 私の上司も、よく怒る人だった。 クライアントへサービスする部下たちの能力の低さに怒った。 会社の方針に賛同しない社員に対して怒った。遅刻者やルール違反を犯した人間にはさらに激しく怒った。 あまりに彼が激しく怒るので、多数の人が辞めていった。 そうかんがえていくと、私の生涯におけるキーパーソンには「いつも怒っている人」が少なからずいた。 もちろん、ビジネスの現場だけではなく、世の中全体も同じだ。 妻は「激し