ここでまた一旦ホテルに戻って、少しだけ仕事をする。そうして日が暮れたらふたたびお出掛けだ。牧志にある桜坂劇場という映画館で、園子温監督の『希望の国』を見るのだ。おれはわかりやすく奇人ぶろうとして「ブックオフのためだけに沖縄まで来た!」とか言ってるけど、まあ実際にはいろいろ予定を入れてあるわけ。いくら激安航空券といっても、せっかくここまで来たからには、いろいろ体験しておかないとね。 『希望の国』は東日本大震災と、その後に起こった原発事故による避難命令で引き裂かれた“家族”の物語だ。そして、何度かあちこちで書いてきたように、富沢家は両親ともに実家がモロに避難命令の出た福島第一原発の20キロ圏内にある。当然、そこで暮らしていた親戚一同は、必要最小限の生活用品しか持ち出すことを許されず、強制的に避難させられてしまった。だから、この映画で描かれていることは、まるで他人事ではないのだ。 そして、他人事