留萌市民文化誌『波灯』(第16号、2003年5月20日発行。連載その7) 世界でいちばん雨の多い国 1:■年平均気温 「年平均気温」という指標がある。一年のうちには寒い日も暑い日もあるが、その一年分を平均した温度のことだ。 東京の年平均気温は15.6℃、札幌は8.2℃だ。札幌の方が7℃ほど低いことになる。同じ季節のなかでも暑い日と寒い日の違いは7℃とか、もっとあるのが普通だから、東京と札幌とがたった7℃しか違わない、というのは意外に思われるかもしれない。しかし、年平均気温が7℃も違うというのは、じつは大変なことなのだ。 いま心配されている地球温暖化でも、温度から言えば地球の平均気温が2、3℃上がることが心配されているだけなのだ。たった2℃か3℃。人間がようやく気がつくほどの、この程度の温度差でも、氷河や南極の氷が融けて海の水が増え、海面が東京やニューヨークや上海など、世界の多くの大都市を水