「アイ・ラヴ・ユー」なんて自分には無関係だった 30歳くらいまで、異性とつきあったことがなかった。一対一でデートみたいなことをしたことも一度もなかった。 高校から浪人の頃となると、異性と会話をした憶えもあまりない。高校は共学だったので近くにはいたのだろうが、名前を憶えている女子すらほとんどいない。 30歳くらいになってつきあいはじめたのは、書いた本がベストセラーになったので、興味関心が合う異性と格段に出会いやすくなったからだった。そんな特殊な事情がなければ、その後もどうなっていたかわからない。 もともと恋愛には、それほど熱意はなかった。女子にモテようと努力するなんて、そもそも恥ずかしいではないか。「アイ・ラヴ・ユー」なんて、自分には無関係な、歌に出てくるだけの言葉でしかなかった。しかも、誰でもそんなものだろうと思っていた。