「風流無談」第14回 2008年8月2日付琉球新報掲載
大江・岩波沖縄戦裁判のなかで論点となっていることの一つに、一九四五年三月二五日の夜に座間味島で起こったできことがある。玉砕するので弾薬を下さい、と訪ねてきた村の幹部ら五人に、梅澤隊長がどのような返答をしたのか、ということである。
宮城晴美著『母が遺したもの』(高文研)には、梅澤隊長は〈今晩は一応お帰りください。お帰りください〉と申し出 . . . 本文を読む
アフガニスタンの民衆のために献身的に活動してきたペシャワール会の伊藤和也さんが殺害された事件は、何とも痛ましく残念でならない。会の代表である中村哲医師は何度も沖縄で講演をやっていて、私も聴いたことがある。講演や著作を通してペシャワール会の活動を知るにつけ、感銘を受けずにはいられなかった。
同じ思いを抱いている人は沖縄に数多くいるだろう。8月28日付の県内紙の一面トップには、伊藤さんの遺体が発見 . . . 本文を読む
本書の第4章を読んでいると、小林や宮城、高里、砥板、匿名の卑怯者Aの五名は、〈セカンドレイプのひと言で言論封殺〉する沖縄の社会状況の中で、自分たちはタブーを破る勇気ある発言をやっているとでも思っているようだ。だが、実際にこの五人がやっているのは何か。被害者が決して声をあげることができない弱い立場に置かれているのを承知のうえで、被害者の落ち度をあげつらい、沖縄社会の問題を強調することによって、加害 . . . 本文を読む
今朝の琉球新報朝刊一面トップは、〈中南部核に県土再編 「嘉手納」より南米軍5施設 県、返還控え構想 広域都市圏形成目指す〉という見出しが並んでいる。〈在日米軍再編で合意された嘉手納飛行場より南の米軍施設の返還を控え、県企画部は二十五日までに、返還跡地の「有効利用ビジョン」策定に向けた検討基礎調査の報告書をまとめた〉ということで、同報告書では那覇への一極集中を見直し、「中南部が一体となった広域都市 . . . 本文を読む
今年の2月に沖縄で中学生の少女が米兵に連れ回され、性暴力をふるわれる事件があった。少女が携帯電話で友人に助けを求め、家族や警察が少女を捜し出して保護した。その後、米海兵隊員の二等軍曹が逮捕されたのだが、被害者と逮捕された米兵の供述には食い違いがあった。暴行(強姦)されたと被害者が訴えたのに対して、米兵はそれを否定した。しかし、少なくとも、米兵が声をかけて少女をバイクに乗せ、家に連れ込んで暴行しよ . . . 本文を読む
靖国神社への合祀取消と損害賠償を求めている裁判の傍聴のために、昨日(19日)は那覇地方裁判所まで足を運んだ。傍聴券を求めて集まった人が、原告(川端光義氏他4名)、被告(国と靖国神社)それぞれの支援者あわせて50名ほど。運良くクジに当たって傍聴することができた。
午前11時過ぎから始まった裁判は、原告代理人の丹羽雅雄弁護士が第1準備書面の要点を読み上げ、二十分ほどで終わった。丹羽氏は、国立国会図 . . . 本文を読む
実家のある今帰仁の仲宗根は、ウークイの翌日にアサギの庭に立てた矢倉を囲んで、シマのエイサー踊りがある。中心となるのは青年会だが、青年会はウークイの日も夕方からシマの主なアジマー(十字路)を回って踊るので、二日続けての踊りとなる。ただ、今年はシマの人が相次いで亡くなったこともあり、アジマーを回るのは自粛したようで、ウークイの夜は静かだった。
ヤンバルも中部の真似をして太鼓を取り入れているところが . . . 本文を読む
浦添商業と慶應義塾の試合は見応えのある試合だった。だいぶ前から言われていることではあるが、沖縄のチームも本当に粘り強くなった。終盤に逆転されても追いつき、勝ち越す。沖縄の四十代以上の世代には、そういう試合展開をやってのける今の高校生たちに、あらためて感心する人も多いのではなかろうか。
今日の夜はウークイ。かつて祖父が紙銭を焼く理由をこう話していた。グソーには子孫が絶えて旧盆にも帰れない人達がい . . . 本文を読む
昨日の琉球新報朝刊にはもう一つ気になる記事があった。
〈迷いイルカ?40頭 多くは衰弱、死亡も 多良間・水納島沖〉という見出しの記事である。多良間村水納島東側のリーフ海域に、コビレゴンドウと見られる動物が漂っているという記事で、〈死んだものや頭部にすり傷を負っているものもおり弱っているものが多かった〉という海上保安庁の巡視船船長の話が載っている。
宮古の水納島のリーフ海域で発見された海洋生物の . . . 本文を読む
昨日の琉球新報朝刊に気になる記事があった。民主党の「沖縄ビジョン二〇〇八」の策定メンバーが那覇市内のホテルでシンポジウムを開いたというが、同「沖縄ビジョン」の中には次のような内容が含まれているという。
〈新ビジョンでは、宮古島市の下地島空港等利活用計画書を下敷きに下地島空港の「国連緊急平和部隊(UNEPS)などの拠点づくり」も盛り込んだ〉(08年8月12日付琉球新報朝刊)。
ごく短い記述だが、 . . . 本文を読む
所用で鹿児島に行ってきた。北京オリンピックの開会式をホテルの部屋で見ながら、前回のアテネ・オリンピックの開会式も県外(東京)のホテルで見たことを思い出した。4年前の8月13日の夜、ホテルに帰ってテレビをつけたら、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落したというニュースが流れた。驚いてそのあとずっと続報を待っていたのだが、報じられるのは巨人の渡辺オーナーの辞任に関することが中心で、そのうちアテネ・オリンピッ . . . 本文を読む
『鉄血勤皇隊』(ひるぎ社)の著者大田昌秀氏は、今さら言うまでもなく元沖縄県知事であり、参議院議員も一期務めた。1990年代の沖縄の政治状況を論じる上で最も重要な人物であり、これから先も多様な角度からその行動と思想は論じられるであろう。その大田氏はまた、琉球大学教授として、沖縄戦や沖縄のメディア、思想、政治など多方面にわたる研究を行い、精力的に執筆・発言を行ってきた。
私が学生時代、西原キャンパ . . . 本文を読む
今日は63年前に広島に原爆が投下された日である。6月23日の沖縄戦慰霊の日、沖縄では夜明け前から遺族が魂魄の塔などに手を合わせに来る。広島でも早朝から花を手向け、手を合わせる人たちがいるだろう。犠牲になった人たちの冥福を祈りたい。
昨日、今日とNHKでは映画「ヒロシマナガサキ・白い光・黒い雨」や「ヒバクシャからの手紙」という番組を零時過ぎから放映していた。せっかくのいい番組なのだから、もっと早 . . . 本文を読む
M:昨日ぬ浦添商業ぬ試合や完勝えったーさーや。
S:あんすとぅよや。ぺーせーぬ球ぬんあいしが、カットボールじ内野ゴロ打たち完封すんばーえっとぅ、伊波りいうぬ投手ん大したむんえっさーやー。
M:ちらやにーぶいじらーしちゅーしがよ、速球とぅ技巧兼に備えてぃ本番じ発揮なんばーえっとぅや。はーま昔、沖縄水産ぬ上原晃投手が、速球主体じや優勝ならんりいち、スライダー多投しちゅうたし思い出ちゃーさー。あんちしち . . . 本文を読む