見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

特別な週末・キトラ古墳壁画四神(飛鳥資料館)

2010-05-19 23:55:51 | 行ったもの(美術館・見仏)
飛鳥資料館 平成22年度春期特別展『キトラ古墳壁画四神』(2010年4月16日~6月13日)

 「特別な週末」初日、葵祭を堪能したあとは、南に下って奈良県橿原市泊(京都市内も奈良市内もホテルが取れなかったのである)。翌朝、駅前から始発バス(8:37)に乗れば、飛鳥資料館の開館ほぼジャストに着くところだが、以前(平成20年度『子・丑・寅』公開)の教訓が身にしみていたので、混雑を避け、タクシーを使って8:00前に到着。門の前には、既に20~30人ほどが並んでいた。予定の9:00より少し早く(始発バス到着前)開けてくれたが、列は70人前後だったろうか。

 入館すると、最初の部屋が特別展の第2室。ここには、キトラ古墳の出土品や複製(写真パネルおよび陶板)が展示されている。会場係の方が「これは複製です。本物をご覧になる方は先にお進みください」と声をかけてくれるが、あんまり精巧な複製なので、ほとんどの人の足が止まってしまう。そこを思い切って、先行者を追い抜き、常設展示室を突っ切って、特別展の第1室へ。古墳から剥ぎとった壁画片が、青龍→玄武→白虎→朱雀の順で、ゆったりと間をあけて展示されている。

 周囲には、まだほとんど人がいない。え、いいのか、とたじろぎながら、最初の青龍に近づく。これがいちばん薄れていて、復元予想図のパネルと見比べないと、どこを見ているのか、よく分からない。次の玄武は、振り向いた亀の表情がはっきり見える。白虎は、くねくねした体がトラには見えないが、ユーモラスである。朱雀は、けっこう猛々しい顔つき。片足を前に出し、片足を後ろに引いたポーズが躍動感を表しているというのは、あとでパネルを見て知ったことで、後ろに引いた足は見えにくかった。「お進みください」と無粋に促されることもなく、心ゆくまで鑑賞。もう一度、青龍に戻って、二周目もまだゆっくり見ることができた。これは朝イチに並んだ特権である。

 再び第1室~常設展示室に戻る。陶板複製は非常にリアルで、墓室の大きさをイメージするのによい。また、キトラ古墳の沿革説明によれば、2004年8月「青龍」の取り外しに成功して以来、「白虎」胴部→「白虎」前脚→「玄武」と北壁の十二支…と進み、2006年10月に新兵器ダイヤモンドワイヤ・ソーが導入されたことで、2007年2月、難航していた「朱雀」の取り外しに成功。ビデオには映っていなかったが、2008年1月(つい最近!)には「天文図」も剥ぎ取られたという。公開が待たれるところだ。

 ひとつ不満だったのは、会場および近鉄駅で売っている”展示図録”『キトラ古墳壁画四神』(1000円)には、初公開の朱雀の写真と論考しか載っていないことだ。過年度の特別展図録に「玄武」「青龍・白虎」の特集号がそれぞれあるためだが、私のように過去の特別展に来ていない観客にとっては、この図録タイトルと中身、ちょっと詐欺ではないかと思われる。

 開館待ちの間、すぐ前に並んでいらしたのが、岐阜から車で出てきたというご夫婦で、いろいろお話していたら、最後にお父さんに「お名前、教えて」と言われた。実は新聞社の記者証をお持ちで、半分仕事(取材)なのだそうだ。確認はしていないが、翌日、どこかの新聞に私の名前入りコメントが載ったかもしれない。

※参考:図録・書籍販売コーナー(奈良文化財研究所飛鳥資料館倶楽部)
全体像を知るには『キトラ古墳』(300円)のほうがいいかも。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 特別な週末・葵祭2010〈斎王... | トップ | 特別な週末・大唐皇帝陵展(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

行ったもの(美術館・見仏)」カテゴリの最新記事