ある日、ミモロは、京都北部の大原の里へと出かけました。
それは、以前から知っている陶芸家、野田芳直さんの個展に伺うため。
「うー確か、この辺りだったはず…」大原三千院へと続く国道沿いを進みながら、ミモロは、沿道で、看板を探します。
目印は、小さな神社です。
森の中にひっそりと佇むのは、「江文神社御旅所」の社です。
この付近は、「花尻の森」と言われ、深い森が山を覆っています。
また、福井へと続く道が通り、かつて多くの商人たちが、日本海側の鯖などの産物を都へと運んだ場所です。
この小さな社はある場所は、壇ノ浦で安徳天皇と共に入水し、のちに助けられ、大原、寂光院に隠棲した平清盛の娘で高倉天皇の中宮の建礼門院を、源頼朝が監視を命じた松田源太夫の屋敷跡と言われています。
きっとここで、建礼門院の元に訪れる人を、監視していたのでしょう。
大きな木の下に、寄り添うように建つ小さな社です。ミモロは、頭を下げてお参りを。
この「江文神社」が祀られた所以には、こんなお話が…。
『昔、ここの里にいた娘が、お殿様に見初められ、都へと。でも、しばらくして、お殿様の心代わりで、見捨てられ、再び、里へと戻されます。そのショックで、正気を失った娘は、近くの淵に身を投げ、大蛇となって、この道を通る殿様行列を襲ったそう。侍に退治された大蛇の首と尾を祀り、娘の霊を鎮めたのが、この神社とか…』
「可哀想な娘さんだよねー」と、ミモロはポツリ。
ミモロが見上げる大きな木には注連縄が。その木の周りには、椿が植わっています。
実は、ここは、大原の椿の名所でもあります。
冬、大きな椿の木は、赤い花をつけ、それが苔の上に散る景色は、それは美しいそう。
「一度、見てみたい」と、思うミモロです。
「あれ?陶芸家、野田芳直さんの個展ってどこでやってるんだろ?」
ミモロは、道がはっきりしない神社の境内を奥へと進むことに。
間もなく、ミモロの前には、一軒の家が姿を現しました。
「あ、あれだー」
家の軒下には、野田さんの作品が、いくつか並んでいます。
さぁ、中に入りましょ。
「こんにちはー」と声を掛けながら、中に入ると…
「あ、ミモロちゃん、久しぶり…よくいらっしゃいました」と、野田芳直さんが笑顔で迎えてくれました。
「今回は、どんな作品があるんですか?」とミモロ。
では、明日、ゆっくりその作品を見て行きましょう。
*「芳直窯」京都市左京区大原戸寺町2 電話075-744-2035
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