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教え方を教える

ベンツの販売を主とするヤナセでは、かつて、現場のリーダーである係長が商談に部下を同行させノウハウを伝承していたという。しかし、そうした文化は失われてしまっている。

その原因は、バブルと成果主義である。「努力しなくても売れる状況」や「自分さえ売れればいいという風潮」により、ベテラン販売員は後輩に教えなくなった。

輸入車市場が冷え込んでいる現在、ヤナセはかつての文化を復活させようとして、2つの仕組みを整備している。

一つは、新しい係長制度。係長の評価を、45%が販売台数の達成度、55%を部下育成により決定する方式に改めたのである。係長は、自ら手本を示しながら、部下を育てることが求められるようになった。

もう一つは、セールスコーディネーター制度。部下育成に悩む係長や支店長に対し、販売や人材育成についてアドバイスし、「教え方を教える」ことがその役割である。支店長経験者がこの任にあたる。

ベテランを活用する動きは製造現場でこそ活発だが、営業の世界では珍しいのではないか。

面白いと思ったのは、セールスコーディネーターがアドバイスする対象が係長だけでなく、支店長であること。支店長は、育成風土に大きな影響を与えるキーマンである。「育成スキル」とともに「管理の在り方」もサポートしている点が、よく考えられていると感じた。

気になったのは、セールスコーディネーターの選抜である。時代の流れに応じて、販売方法が変化する部分もあるし、普遍的に変わらない営業の原理もあるだろう。そのへんをしっかりと教えることができるかどうかが鍵になると思った。

出所:「ヤナセ:脱「ベンツ依存」の秘策」日経ビジネス2009年11月9日号p.48-50.
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新著出ました

この度『学習する病院組織:患者志向の構造化とリーダーシップ』という本を同文舘出版から刊行することができました。

内容は、「淀川キリスト教病院」「聖隷浜松病院」「医療生協さいたま」の事例研究です。これら3病院の特徴は、患者中心の理念を持ちながらも、経営危機に直面し、それを乗り越えることで、患者志向を仕組みとして定着させることに成功した点です。

本書は、リーダー達(院長、看護部長、事務部長)が連携しながら病院を変革するプロセスを、「生の声」を基に分析しています。医療に関心のある方だけでなく、顧客満足、組織学習変革型リーダーシップに興味のある方に読んでいただければ幸いです。



学習する病院組織―患者志向の構造化とリーダーシップ
松尾 睦
同文舘出版

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人知をはるかに越えた

『人知をはるかに越えたキリストの愛を知ることができますように。』
(エペソ人への手紙3章19節)
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『輝ける闇』(読書メモ)

開高健『輝ける闇』新潮文庫

従軍記者としてベトナム戦争を取材した開高健の記録である。

現地の人々、アメリカ軍、南ベトナム軍と生活を共にする開高氏は、アジアの気だるい雰囲気の中で、ベトナム戦争の感覚を伝えている。

本書の中で、開高氏がカービン銃をいじる場面が印象的である。

「そこにたてかけてあったカービン銃をとりあげて私は銃眼からゴム林を覗く。銃は一度も射ったことがないが、見よう見まねで安全装置をはずしてみた。(中略)面白半分で私は人を殺し、そのあと銃をおいて、何のやましさもおぼえずに昼寝ができそうだ。たった100メートル離れただけでビールの缶でもあけるように私は引き金がひけそうだ。それは人殺しではない。それはぜったい罪ではなく、罰もうけない。とつぜん確信があった。かなたの人物もまた私に向かっておなじ心をうごかしているにちがいない。この道具は虚弱だ。殺人罪すら犯せぬ。」

この箇所は、戦争の本質を伝えていると感じた。
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創造的混沌

先日、ワークプレイスラーニングというカンファレンスに参加したが、その中で面白かったのが「バンダイ」の事例。

バンダイの紀伊さんが強調していたのは「社員を混沌の中に置くことで成長を促す」ということ。何が混沌を作っているかというと、

多様性のある社員
・頻繁な異動
・大胆な権限委譲

である。つまり、「いろいろな社員がいる中で」「どんどん部署を動かして」「仕事を任せる」ことで人を育てている。

しかし、これだけだと単なる混乱に陥ってしまう危険性がある。バンダイで混沌が前向きに働いているのは、会社全体が目指す方向がはっきりしているからだ。「楽しいときを創る企業」という同社の理念があるからこそ、混沌が創造性を生む、といえる。

もう一つ紀伊さんが強調していたことは「自立エンジンを持つ社員」。つまり、自ら学ぶ力を持っているがゆえに、混沌を学びに変えることができるのだ。

会社の方向性を明示したうえで、自立的な社員を、混沌の中に置くとき、イノベーションが生まれる、といえる。

出所:ワークプレイスラーニング2009資料
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養生訓

先週紹介した横尾忠則氏の『病の神様』の中に、貝原益軒の『養生訓』の一部が紹介されていた。

その中で、「養生の四寡」というものが心に残った。

悩みを少なくして心(神)を養い
欲を少なくして魂(精)を養い
飲食を少なくして胃を養い
ことばを少なくして気を養う
(p.222)

こうして見ると、自分は4つともダメである。
どれか一つでも守ってみたい、と思った。
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人はうわべを見るが、主は心を見る

『人はうわべを見るが、主は心を見る』
(サムエル記Ⅰ、16章7節)
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