( この漫画は、前回も書きました「 人殺しのメロディー 」の一コマです。郵送してもらった
外車のパンフレットが随分と役に立ちました。《 1988年 制作 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その13
漫画「 人殺しのメロディー 」( 28P、1988年制作 )は、幼児期に母親から
虐待・放置された主人公が、少年期にその母親を殺し、青年期に連続殺人鬼
と成っていくという・・・かなり陰鬱な作品です。
人生に対する否定的な思考の全てが詰まっている様な・・・とても「 新人賞 」
に応募する様な「若々しく」「新人らしい」作品とは言えないシロモノでした。
この作品を描く3年前( 1985年 )に付き合っていた女性にフラれた事が、作
品の陰湿な土台になっている様です・・・・。
今、読み返すと・・・なぜ、自分がこんな作品を描いたのか理解出来ない様な
・・・背筋が寒くなる様な気分がします・・・。
後にある漫画家( 故人 )に・・・
「 幼児がだだをこねてスネている感じだ・・・ 」
と厳しく批評されました。
生まれた赤ん坊が後に連続殺人鬼になっていく・・・ただ、それだけの物語・
・・・。この作品を今、読み返して大変不快になるのは、技術レベルが低い
からとか、ストーリーが未熟だからとかではありません。
それは・・・「 殺人 」の正当化( 必然性 )を語っているからです。
正気を失った父親から性的暴行を受けた娘がその子供を産むところからこの
物語が始まります。・・・そして、青年となり、連続殺人を犯す主人公の言
葉で終わるラストシーン・・・・
『 股広げろよぉ! 突っ込みながら殺してやるぜっ!! 』
人間、追い詰められると何をするか分らないものです。「 雨のドモ五郎 」で
デビューしてから、次の作品に苦しみ1年半の間いくつもの作品( 絵コンテ )
がボツになる中でたどり着いたのが、「 人殺し 」の漫画。
彼女にフラれた腹いせに作った様な作品・・・( 結果的には、そんな感じに
・・・ )
1985年、春・・・・・。彼女は世田谷区にあるS学園大学で中世文学を専攻
していました・・・。男子大学生がマイカーを持ち、女子大学生はブランド
品で身を飾る・・・そんな時代の始まりでした。もう、私の様に薄汚いジー
ンズや下駄、長髪は完全に消え去っていました。
彼女の父親は会社( 建設関係? )の社長でした。田園都市線沿線にある自宅
は、小高い丘の上にある真っ白の邸宅( 黒澤明の「 天国と地獄 」に出てきた
白い権藤邸とそっくり! )で、豊かな暮らしと高い教養を享受していたので
す。
友人の紹介で知り合い、始めは、とても会話がはずみ調子が良かったのです
が・・・元々、私と釣り合う相手では無かったのかもしれません。しかし、私
はまるで違う世界の違うタイプの人間に強く惹かれていきました。
初めて私のベッドで体を開いてくれた後で・・・さっさと下着を着けて、ボン
ヤリ横になっている私を見下ろしながら・・・
「 私はYさんの重荷になるだけかなァ・・・ 」
すでに、別れの気配が始まっていたわけです・・・
事実、数ヶ月後に別れる事になるのですが、彼女の方から一方的に別れ話を切
り出された時は・・・自分が30歳の成人である事を忘れ、興奮と混乱の中で馬
鹿丸出しのあわてぶりを示しました。
長い髪を切り、見違える様に綺麗になった彼女と渋谷の喫茶店で別れた後( 捨
てられた後! )・・・。振っ切る事の出来ない自分にイライラする日々がその
後、5年間続きました。
今も、何で彼女に惚れたのか、彼女の何処が良かったのか・・・全然分りませ
ん・・・。人生に一度や二度こうした理不尽な恋の苦しみを誰でも味わうので
しょう・・・・
今では、20年前の遠い過去の記憶でしかありません。
しかし・・・もし今、何処かで偶然、彼女に会ったら・・・今までの人生が・
・・今の自分の全てが・・・崩壊してしまうかもしれない・・・・・・・・・
・・・ウソ、これは冗談!
「 漫画家アシスタント 第5章 その14 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第5章 その12」へ戻る 】
注意 : お知らせも併せてご覧下さい!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ お知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
コメントをくれた皆様の中で特に以下の方々へ・・・
さいふぁさん、ねもさん、40代女性漫画家さん、kyokinkyaさん、シャモンさん、
バカざるさん、(*`Д´*)さん、ごしまさん、ここさん、、mimiさん、マヤさん、
あきさん、サトル君、失敗だらけだフニャさん、自営業さん、良太さん、しば
さん、祐希さん、ぱるちゃん、杉岡陽子さん、マメ柴さん、ぺこたんさん、
デカイチさん、みかんさん、aaさん・・・
皆さんの中で、コメントが転載される事に同意できないという方は是非ご
一報下さい!
一応、このままですとこちらで勝手に編集(明らかな誤字の修正、絵文字の
解体そして改行等)して単行本に転載してしまいます。 どうか、ご遠慮な
く申し出て下さい!
このブログへのコメントでも結構ですし、以下のアドレスへのメールでも構
いません(最初の「イエス」は小文字の「yes」に変換してから送信して下さ
い)。どうかよろしくお願いいたします!
イエス_koike@yahoo.co.jp
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
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漫画「 人殺しのメロディー 」( 28P、1988年制作 )は、幼児期に母親から
虐待・放置された主人公が、少年期にその母親を殺し、青年期に連続殺人鬼
と成っていくという・・・かなり陰鬱な作品です。
人生に対する否定的な思考の全てが詰まっている様な・・・とても「 新人賞 」
に応募する様な「若々しく」「新人らしい」作品とは言えないシロモノでした。
この作品を描く3年前( 1985年 )に付き合っていた女性にフラれた事が、作
品の陰湿な土台になっている様です・・・・。
今、読み返すと・・・なぜ、自分がこんな作品を描いたのか理解出来ない様な
・・・背筋が寒くなる様な気分がします・・・。
後にある漫画家( 故人 )に・・・
「 幼児がだだをこねてスネている感じだ・・・ 」
と厳しく批評されました。
生まれた赤ん坊が後に連続殺人鬼になっていく・・・ただ、それだけの物語・
・・・。この作品を今、読み返して大変不快になるのは、技術レベルが低い
からとか、ストーリーが未熟だからとかではありません。
それは・・・「 殺人 」の正当化( 必然性 )を語っているからです。
正気を失った父親から性的暴行を受けた娘がその子供を産むところからこの
物語が始まります。・・・そして、青年となり、連続殺人を犯す主人公の言
葉で終わるラストシーン・・・・
『 股広げろよぉ! 突っ込みながら殺してやるぜっ!! 』
人間、追い詰められると何をするか分らないものです。「 雨のドモ五郎 」で
デビューしてから、次の作品に苦しみ1年半の間いくつもの作品( 絵コンテ )
がボツになる中でたどり着いたのが、「 人殺し 」の漫画。
彼女にフラれた腹いせに作った様な作品・・・( 結果的には、そんな感じに
・・・ )
1985年、春・・・・・。彼女は世田谷区にあるS学園大学で中世文学を専攻
していました・・・。男子大学生がマイカーを持ち、女子大学生はブランド
品で身を飾る・・・そんな時代の始まりでした。もう、私の様に薄汚いジー
ンズや下駄、長髪は完全に消え去っていました。
彼女の父親は会社( 建設関係? )の社長でした。田園都市線沿線にある自宅
は、小高い丘の上にある真っ白の邸宅( 黒澤明の「 天国と地獄 」に出てきた
白い権藤邸とそっくり! )で、豊かな暮らしと高い教養を享受していたので
す。
友人の紹介で知り合い、始めは、とても会話がはずみ調子が良かったのです
が・・・元々、私と釣り合う相手では無かったのかもしれません。しかし、私
はまるで違う世界の違うタイプの人間に強く惹かれていきました。
初めて私のベッドで体を開いてくれた後で・・・さっさと下着を着けて、ボン
ヤリ横になっている私を見下ろしながら・・・
「 私はYさんの重荷になるだけかなァ・・・ 」
すでに、別れの気配が始まっていたわけです・・・
事実、数ヶ月後に別れる事になるのですが、彼女の方から一方的に別れ話を切
り出された時は・・・自分が30歳の成人である事を忘れ、興奮と混乱の中で馬
鹿丸出しのあわてぶりを示しました。
長い髪を切り、見違える様に綺麗になった彼女と渋谷の喫茶店で別れた後( 捨
てられた後! )・・・。振っ切る事の出来ない自分にイライラする日々がその
後、5年間続きました。
今も、何で彼女に惚れたのか、彼女の何処が良かったのか・・・全然分りませ
ん・・・。人生に一度や二度こうした理不尽な恋の苦しみを誰でも味わうので
しょう・・・・
今では、20年前の遠い過去の記憶でしかありません。
しかし・・・もし今、何処かで偶然、彼女に会ったら・・・今までの人生が・
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あきさん、サトル君、失敗だらけだフニャさん、自営業さん、良太さん、しば
さん、祐希さん、ぱるちゃん、杉岡陽子さん、マメ柴さん、ぺこたんさん、
デカイチさん、みかんさん、aaさん・・・
皆さんの中で、コメントが転載される事に同意できないという方は是非ご
一報下さい!
一応、このままですとこちらで勝手に編集(明らかな誤字の修正、絵文字の
解体そして改行等)して単行本に転載してしまいます。 どうか、ご遠慮な
く申し出て下さい!
このブログへのコメントでも結構ですし、以下のアドレスへのメールでも構
いません(最初の「イエス」は小文字の「yes」に変換してから送信して下さ
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「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
アニメ化への計算もいれて
PTAや社会からの批判も考えると
殺人系でグロと性を絡ませるのは
かなりマイナーな某雑誌でも厳しいですよね
作者の個性や性格、心境が作品に少なからず影響する
と見なされる漫画では、ちょっと敬遠しがちなテーマ
です。未知の領域に挑戦という意味では。。
だいぶ漫画の表現内容も厳しく規制(暗黙の了解)
なりましたしね・・。昔の漫画の
子供の性描写のなんと多いことか
第1章から読ませて頂きました、面白いですね。
このブログの話は2、30年前の事から書かれてますけど、セクハラ事件や編集者とのやりとりなど、まるで昨日のことの様に鮮明な描写ですね。日記をつけてられたのでしょうか。
つづきを楽しみにしてます。
実は、私自身この「人殺しのメロディー」を見たのは19年ぶりで、
完成させてからはほとんど見ることはありませんでした。
本当に久しぶりにこの作品を見て、驚いた(自分の作品なのに!)
のです。何でこんな刺激的な作品を描けたのか・・・! それにし
ても、当時より現在の方が「自由な表現」に規制が掛かっている
のではないか・・・という疑問がわきました。
エロ漫画の販売量と性犯罪発生件数が正比例しているのなら、
エロを規制することも妥当でしょうし、暴力少年漫画の販売量と
少年暴力事件発生件数が正比例しているなら、それも妥当でし
ょう。
しかし、実際には比例どころか反比例しているのではないでしょ
うか・・・・・?
気が付かないうちに、「自己規制」と「相互監視」のしみったれた
社会になっている事に気付かされた思いです・・・・・・
>ショートレグさん へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>日記をつけてられたのでしょうか
日記をつけていれば良かったのに・・・と、思うことが多いです!
私は無精者ですので、日記が1週間とつづきません。しかし、当時
は手紙を良く書きましたので、その下書きや友人からの手紙など
が、大変貴重な資料になっております。
記憶というものは不思議なもので・・・まったく忘れているつもり
でも、極々小さな糸口から芋づる式にその時の些細な状況を思
い出す事が出来ます。
例えば・・・前回の外車ディーラーに電話する話ですが、はじめは
「車の資料にパンフレットを使ったなぁ・・・」程度の事しか頭に無か
ったのですが・・・
パンフレット・・・電話で取り寄せ・・・電話の応対・・・試乗する事を
勧められる・・・・・・と、面白い様に芋づる式に記憶が蘇ってくる
のです。
私は決して記憶力が良いのではなく、わずかな「記憶」をモゾモ
ゾとほじくっているだけなのです・・・・・。
>規制が掛かっているのではないか・・・
仰るとおりだと思います。私も持ち込みに言った時に過激なものは描くな、と編集者に言われました。編集者曰く、お上の監視が厳しく行政から会社側に一言あったら会社はすぐに雑誌を潰してしまうのが現状だそうです(勿論、メジャー誌以外ですが)。
最早「自由」などと言うものは商業誌には存在しないのかもしれません。
かと言って同人誌も即売会を行政によって潰されてしまう。先日も某即売会が公共施設に相応しくないと東京都が貸出を禁止し、それが波及して複数の即売会が中止に追い込まれました。
最早ネット内にしか自由はないのかもしれません。そのネットも行政に規制されようとしている。
人殺しのメロディーも、是非ともネットと言う唯一の自由の海に解き放っていただきたいです。
犯罪白書などを細かく読めば他の犯罪などと同様に減っているのがわかると思います。
ただ、表現方法と犯罪というのは一見関係ありそうでも実際は関係ないと思いますけどね。
社会が豊かになって情報の行き来が増えたわけですから、その情報によって犯罪が増えてもよさそうなもんですけど実際には社会が豊かになると確実に犯罪は減りますから。
犯罪の発生率は結局のところ国民の平均的な経済事情によるというのが結論ではないでしょうか。
「犯人の部屋からは暴力・殺人描写のある漫画が大量に・・・」
みたいに報道されるんだろうな~
たとえそれが『刃牙』や『あずみ』でも
yesさん自身が嫌悪感を抱くところは別として。
まぁ、「時代の流れとタイミング」によって、何でこの漫画がこんなに受けるんだぁ??ってなるんでしょうね。
ので、返事が遅れてしまい、スイマセンでした……!
>ふじもんさん へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「人殺しのメロディー」には、主人公が赤ん坊だった時に、母親から
虐待されるのですが・・・それは・・・・・・鍋に入れられて・・・・・・煮込
まれるんですが・・・そんなシーンは・・・今、どうなんでしょうか・・・
・・・・・・・・
次回、その・・・ほんのサワリのシーンをアップしてみましょうか・・・
・・・・・・・・。
>通りすがりさん へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
犯罪発生件数が減っているなら、大いに結構な事だと思います。
それが、エロ漫画や児童ポルノの規制と関係があるなら・・・話は
とても簡単なんですが・・・・・・
実は、以前テレビ報道で見たのですが、青少年の凶悪(殺人、強姦
放火等)犯罪の発生率が一番悪かったのは、昭和30年代の中頃・・・
つまり、昭和18年前後に生まれた世代(我が師匠のJ先生は18年生
まれ!)は20世紀における凶悪世代と言えるわけです。 ちなみ
に最も青少年凶悪犯罪発生率の低い世代は昭和30年前後に生ま
れた世代(私が30年!有名人では、江川卓、さんま、所ジョージ等)
だそうです!
最悪(?)の世代と最善(?)の世代では、発生率が数倍違っていた
ように記憶しております。
私も通りすがりさんと同じ意見で「国民の平均的な経済事情」が最
も大きく影響していると思います。
>雪田徹夜さん へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
もしも私が何かで逮捕されたら・・・
「犯人の部屋から洋物裏DVDが大量に・・・」みたいな・・・あ~~ヤ
ダっ!
たった5,6枚でも「大量に」なんて報道されるんだ、きっと!
>ぱるちゃん へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いえいえ、ぱるちゃん! 時代の流れもタイミングもありません!
私の「人殺しのメロディー」はバッティングで言えば「空振り三振」
タイミングが合ってもせいぜい「ピッチャーゴロ」!
テーマが「人殺し」でも面白ければ良かったのですが・・・・・つまら
なければ・・・これは・・・もう、ど~しょ~もありません!
いやはや・・・お恥ずかしい次第!