ガザ停戦入り ハマス、まず人質3人を解放
【ドバイ=福冨隼太郎】パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスが19日、停戦した。2023年10月7日に始まった戦闘を停止し、ハマスは拘束していた人質のうち計33人の解放を始める予定で、19日にまず3人の人質を引き渡した。
停戦合意は当初、19日午前8時30分(日本時間午後3時30分)に発効する予定だったが、イスラエルが「ハマスが解放する人質3人のリストを提出していない」として攻撃継続を宣言。その後、ハマスがリストを提出したとして約3時間遅れの午前11時15分に停戦入りすると明らかにした。
イスラエル軍によると、解放された人質3人はハマスから国際赤十字に引き渡された。現地時間19日夕にX(旧ツイッター)で明らかにした。
イスラエル側も拘束しているパレスチナ人を釈放する方針。イスラエルメディアによると、同国当局は700人以上の解放予定の拘束者のリストを公表した。
ガザに向けた人道支援も本格化する見通しだ。エジプトとガザの境界では、支援物資を搭載したトラックがガザに入り始めた。
合意は3段階で米国、カタール、エジプトが仲介した。19日に始まった6週間の第1段階の停戦中に恒久停戦に向けて第2、第3段階の内容を協議する。第2段階では残る人質の解放やイスラエル軍のガザ撤退を実施し、第3段階で遺体の返還やガザ復興を始める。
仲介国や国際社会は恒久的な停戦を実現させたい考えだが、協議が進むかは不透明だ。イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマス壊滅」の目標を引き続き掲げ、合意履行の違反があれば戦闘を再開する構えだ。
23年10月にハマスがイスラエルを奇襲し人質を連れ去って以降、一時的な停戦をはさんで両者の戦闘は1年3カ月以上にわたって続いた。イスラエルはハマスが遺体を含め97人の人質を拘束していると主張している。19日に1人の遺体を奪還したと明らかにした。
イスラエルはガザに激しい攻撃を加え、ハマスの幹部を相次いで殺害。ハマスは勢いを大きく落とした。イスラエルの攻撃は民間人にも大きな犠牲を生んだ。ガザ保健当局によると戦闘開始以降のガザ側の死者は4万6千人を超える。
レバノンのヒズボラやイエメンのフーシなどの周辺の親イラン武装組織とイスラエルの戦闘も激化した。ヒズボラは指導者ナスララ師を殺害されるなど打撃を受け24年11月にイスラエルと停戦で合意した。
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(更新)
2023年10月にイスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの衝突が始まって以降、中東情勢が大きく揺れ動いています。地域大国イランとイスラエルが直接、交戦する事態に発展し、シリアでは半世紀以上続いたアサド家の政権が崩壊しました。最新ニュースと解説記事をまとめました。