薬剤師の労務管理【第15回】病院や薬局でも発生するセクハラ・パワハラ…職場のハラスメントについて

LINE
薬剤師にとって、労務管理で認められる権利を知ることは自分を守ることに繋がります。本シリーズでは、薬剤師が知っておくべき労務管理について、長友先生から講義形式でお伝えいたします。今回は、「職場のハラスメント」についてのお話です。

セクハラ・パワハラなど、ハラスメントの種類と定義

近年、職場のハラスメントに関する問題が深刻化しており、病院や薬局も例外ではありません。ハラスメントとは嫌がらせ行為によって労働者の就業環境を害することで、様々な種類があります。

代表的なハラスメントには、性的な言動による嫌がらせであるセクシャルハラスメント(セクハラ)や、立場の違いを利用して嫌がらせを行うパワーハラスメント(パワハラ)があります。また、最近よく話題になっているのは、育児や妊娠している女性に対して権利を妨げたり皮肉を言われたりするマタニティハラスメント(マタハラ)です。

実際に薬剤師の職場でもハラスメントは起こっている

薬剤師さんが働く現場でも、セクハラやパワハラ、マタハラは実際に発生しています。

ある女性薬剤師は、上司から仕事中に好意を言い寄られたり、仕事終わりに待ち伏せをされたりというセクハラ被害に遭いました。

他には、女性であるというだけでお茶汲みを強制的にやらされるというパワハラ被害や、妊娠をして休業申請をしたら職場から退職されるように促されたというマタハラ被害が報告されています。みなさんがハラスメントを受けてしまう可能性は大いにあります。

ハラスメントを防ぐために心がけること

職場でハラスメントが発生しないようにするために、大切なことが2つあります。

1つ目は、「雇う側が男女雇用機会均等法や育児介護休業法などの法律に基づいて就業規則を定めること」。2つ目は、「ハラスメントとはどういうことなのかということを職場全体で考えていくこと」です。

ハラスメントには、「自分が加害者になってしまう」という危険があります。例えば、指導する立場で、指導方法の行き違いから部下や後輩からパワハラと訴えられることがあるかもしれません。相手の受け止め方で、ハラスメントになってしまう可能性があるのです。

今回のポイント

・ハラスメントとは嫌がらせ行為によって労働者の就業環境を害すること
・ハラスメントには様々な種類があり、病院や薬局でも発生している
・職場全体でハラスメントについて考えていくことが大切

長友社会保険労務士事務所 代表
長友秀樹(ながとも ひでき)
一般企業に就職後、MR、社会保険労務士(社労士)資格を取得。人事コンサルタントとしても活動経験を持つ。MR・人事コンサルタントとしての知見を生かして、自身の事務所を独立開業。医療業界に係わる人事・労務の諸問題の解決を中心に扱っている。
LINE

この記事を書いた人

薬プレッソ編集部

薬プレッソ編集部

薬剤師のみなさんが仕事でもプライベートでも、もっと素敵な毎日を送れるような情報を日々発信しています。

「薬プレッソ」の「プレッソ」はコーヒーの「エスプレッソ」に由来します。エスプレッソの「あなただけに」と「抽出された」という意味を込め、薬剤師の方に厳選された特別な情報をお届けします。

「プレッソ」にはイタリア語で「すぐそばに」という意味もあります。編集部一同、薬剤師のみなさんと伴走しながら、みなさんの「もっといい人生、ちょっといい毎日」のために「ちょっといいメディア」にしていきたいと思っています。

あなたにおすすめの記事

転職事例