薬剤師の労務管理【第16回】残業は業務命令?時間外労働・休日労働の基本
時間外労働、休日労働とは?
近頃、働き方改革が叫ばれ、「時間外労働」や「休日労働」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。時間外労働とは、1週40時間、1日8時間の範囲で会社が定めた労働時間を超えることです。休日労働とは、法定休日や法定外休日に働くことです。
薬歴の記載義務の厳密化などにより残業が増えているようで、薬剤師さんには身近な問題です。行き過ぎた長時間労働は精神的な障害をきたしたり、時には過労自殺を招いたりすることもあります。
(法定休日とは:最低限度の休日。1週1回以上、または4週4日以上の休日。割増賃金1.25倍)(法定外休日とは:雇用主と労働者の間で定めた法定休日以外の休日。割増賃金1.35倍、1.25倍、1.00倍)
残業は業務命令に当たる
時間外労働、休日労働は、基本的に会社や薬局からの「業務命令」と見なされます。しかし、残業を行う時に上司がその場にいない、労働者側の自主的な判断で残業せざるを得ないという場合があります。
自主的な判断であっても残業として認められるはずですが、「残業は業務命令」という認識を会社や薬局全体で共通認識としてもっておくことが大切でしょう。雇用者と労働者が協力して「残業に関する職場のルール」をきちんと確認することが重要です。
時間外労働や休日労働にはルールがある
会社の命令であっても、時間外労働や休日労働にはルールがあります。時間外労働や休日労働を行う際には、必ず事前に「36協定」という協定届けを提出しなければなりません。
36協定とは、雇用主と従業員側がお互いに確認し合って、1カ月間に何時間まで残業をするかというものを取り決める書類です。この書類は法律に基づいて作成され、労働基準監督署に提出します。
今回のポイント
・薬剤師の現場でも時間外労働や休日労働の問題は深刻化している
・時間外労働や休日労働は基本的には業務命令である
・時間外労働や休日労働を行う際は「36協定」を必ず結ぶ
長友秀樹(ながとも ひでき)
一般企業に就職後、MR、社会保険労務士(社労士)資格を取得。人事コンサルタントとしても活動経験を持つ。MR・人事コンサルタントとしての知見を生かして、自身の事務所を独立開業。医療業界に係わる人事・労務の諸問題の解決を中心に扱っている。