「スズキ・スイフトスポーツ」の特別なファイナルモデルか、新型を待つか マニアはこう考える
2025.01.23 デイリーコラムビジュアルに特徴アリ
スズキは2024年12月17日、「スイフトスポーツ」に特別仕様車「ZC33Sファイナルエディション」を設定し、2025年3月19日に発売すると発表した。ZC33Sファイナルエディションは2025年3月から同年11月までの期間限定生産車で、「東京オートサロン2025」のスズキブースで実車が初公開された。本稿では同モデルの特徴を紹介しつつ、現行「スイフト」がベースとなるであろう次期スイフトスポーツのスペックを予想してみたい。
既報(参照)のとおり、スズキ・スイフトスポーツZC33Sファイナルエディションは、フロントグリルやアルミホイールなどをグロスブラック仕上げとしたほか、専用デザインのブレーキキャリパーやエンブレム、Cピラーデカールなどを採用。Cピラーの「ZC33S」と大書きされたデカールは、左右でデザインが異なる「続き文字」になっている。
一方のインテリアは、助手席前方のインパネオーナメントに「Sport」のロゴが入れられ、こちらとドアアームレストやコンソールのオーナメントには、ヒートグラデーションと呼ばれる「マフラーが焼けた感じ」の加飾が用いられた。またそのほかグロスシルバーの専用ステアリングガーニッシュも、ZC33Sファイナルエディションのビジュアル上の特徴だ。
価格は6段MT車が232万9800円で、6段AT車が240万1300円。ボディーカラーは、ファイナルエディションのイメージカラーである「フロンティアブルーパールメタリック ブラック2トーンルーフ」を含む2トーン4種類のほか、スイフトスポーツそのもののイメージカラーである「チャンピオンイエロー4」も用意された。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
新型スイフトスポーツの登場はいつ?
以上のように、文字どおり現行型スイフトスポーツのファイナルモデルとなるZC33Sファイナルエディションは、ビジュアル面のみが標準仕様と異なっており、パワーユニットやトランスミッション、足まわりに変更はない。そのため、ファイナルエディションの見た目と雰囲気が気に入ったのであれば「買い」ということになるのだろう。また、いわゆるコレクターズアイテムとしての価値を見いだせるのであれば、これまた「買い」ということでいいかと思う。
しかし──ここから先は個人的な好みに基づく話になってしまうが──ZC33Sファイナルエディションの各所に用いられている「これみよがしのデカール類」は、ホットハッチであると同時に、大人っぽい落ち着きも感じさせてくれる現行型スイフトスポーツの魅力を、いささか損なっているようにも思う。
あくまでも筆者個人としては、これを標準車より17万円近く高い値段で買うのではなく、標準仕様の在庫新車あるいは中古車を探したいところだ。ちなみに現行型スイスポの中古車を中古車販売サイトなどでざっくり検索したところ、2025年1月中旬現在、走行0.5万km以下の車両が100台ほど流通している。
それはさておき、ZC33Sファイナルエディション以上に気になるのは「新型スイフトスポーツはいつ、どんなスペックで発売されるのか? というか、そもそも新型スイスポは本当に発売されるのだろうか?」ということだ。
ZC33S型が最後となる可能性も?
今、さまざまな自動車関連メディアが「次期型スイフトスポーツのパワーユニットは1.4リッターターボの改良版+48Vマイルドハイブリッドに決まったもよう!」的なことを報じている。だが筆者は、それら情報を丸ごと信用するほどナイーブではない。なぜならば、各メディアの「自称スクープ」は大外しするケースも多く、かといって大外ししたところでそれについてフォローがあるわけでもない「しょせんは無責任で適当なモノ」だと思っているからだ。
とはいえ、もしも新型スイフトスポーツが登場するのであれば、やはり電動パワーユニットになる可能性は高いだろうとも思う。なぜならば、年々厳しくなっていくばかりの先進諸国の排ガス規制を純エンジンによって、しかもスイフトスポーツの命題である「リーズナブルな車両価格」でもってクリアし、なおかつ「ZC33S型以上に高性能でファンな一台に仕上げる」というのは、どう考えても至難の業であるからだ。
そして同時に思うのは、「でも電動ユニットを用いれば“それ”が可能になるとも限らないよね?」ということだ。つまり、高額になり、重くなり、そして純エンジンとは異なったフィーリングになるマイルドハイブリッドまたはストロングハイブリッドを用いて「ZC33S型以上に高性能でファンなスイスポを安価につくり、納得の価格にて販売することはできるのだろうか?」という疑問である。
ここについてはわからない。本当にわからないが、まぁ難しい作業であることは間違いないだろう。しかも、新型スイフトスポーツの情報はスズキから一向に漏れ伝わってこないし、スパイショットの1枚すらもいまだに見かけない。世の中にはこんなにも“パパラッチ”が多いというのに。
それゆえ「スズキ・スイフトスポーツは、2025年まで販売されたZC33S型が最後となり、その後は二度とつくられることがありませんでした」となってしまう可能性も十分あると、筆者は最悪のシナリオも考えている。もちろん、そんな悲観的な予測はあっさり覆ってほしいとも願っているのだが……。
(文=玉川ニコ/写真=スズキ、webCG/編集=櫻井健一)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
玉川 ニコ
自動車ライター。外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、自動車出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。愛車は「スバル・レヴォーグSTI Sport R EX Black Interior Selection」。
-
トヨタが開発中のミドシップスポーツに“大のミドシップ好き”清水草一が思うことNEW 2025.2.3 トヨタが、新開発エンジンをミドシップする「GRヤリスMコンセプト」を公開した。このクルマは、やがてどんな市販モデルに発展するのか? それはクルマ好きに歓迎されるのか? MR車を愛する清水草一が熱く語る!
-
「スズキ・ジムニー ノマド」を徹底解剖! 兄弟車との詳しい違いと誕生の裏側を探る 2025.1.30 いよいよ日本導入が発表された、“5ドアのジムニー”こと「スズキ・ジムニー ノマド」。一見すると、ただの「シエラ」のロング版だが、その中身はかなり異なっていた。3ドアとの違いは? 品質は大丈夫? ジムニー ノマドの気になるところを徹底解説する。
-
期待か落胆か スバリストがSTIのコンプリートカー「S210」のプロトタイプに思うこと 2025.1.30 スバルとSTIが「東京オートサロン2025」で発表したSTIのコンプリートカー「S210」のプロトタイプに、スバリストはいつになくザワついた。台数限定500台の販売を予定する8年ぶりの「Sシリーズ」に寄せられた賛否両論とは?
-
新ブランドの参入も!? 2025年に国内デビューするニューモデル【輸入車編】 2025.1.29 2025年に国内導入が見込まれる、または導入が実現してほしい新型の輸入車を紹介。ドイツ車やフランス車などももちろん楽しみだが、2025年はBYDに続く中国ブランドの国内参入があるかもしれない!?
-
2025年は50周年! フォルクスワーゲンの小さな巨人「ポロ」の半世紀を振り返る 2025.1.27 2025年3月に生誕50周年を迎える「フォルクスワーゲン・ポロ」。日本でも広く親しまれてきたコンパクトなドイツ車は、この半世紀をどのように歩んできたのか? ここで、その歴史を振り返ってみよう。
-
カワサキ・メグロS1(6MT)【レビュー】
2025.2.1試乗記軽二輪の気軽さと、クラシックな装いが魅力の「カワサキ・メグロS1」。日本のバイク史を彩る名門の名を冠した一台は、それに恥じぬ仕上がりとなっているのか? “メグロ”のブランドを今日に受け継ぐ本家カワサキが世に問うた、レトロスポーツの魅力に触れた。 -
懐かしの煙とかおり 2サイクルエンジンのクルマ特集
2025.2.1日刊!名車列伝2月の「名車列伝」では、いまや絶滅種となってしまった「2サイクルエンジン車」を特集。日本やドイツで親しまれた小排気量車を中心に、懐かしいモデルを日替わりで紹介します。 -
『CAR GRAPHIC』2025年3月号発売 マセラティの111周年
2025.1.31From Our Staff『CG』2025年3月号では、イタリアの名門マセラティを特集。さらに、さまざまなブランドのハイパフォーマンスEVの比較テストや、クルマ好きなら押さえておきたい自動車関連イベントのリポートにも注目! -
第818回:静かでエコでプレミアム 中・大型SUV向けタイヤ「ヨコハマ・アドバンV61」を試す
2025.1.31エディターから一言横浜ゴムが2025年3月に発売する中・大型SUV向けタイヤ「ADVAN(アドバン)V61」。低燃費・低電費性能、操縦安定性、静粛性を高次元でバランスさせ、快適な乗り心地を実現すると紹介されるこのグローバルタイヤの実力を、ひと足先に確かめた。 -
「スズキ・ジムニー ノマド」発表会の会場から
2025.1.30画像・写真導入を待ち望むファンの期待に応え、2025年1月30日、「スズキ・ジムニー」の5ドアモデル「ジムニー ノマド」の国内販売が正式発表された。同日に東京都内で開催された発表会の様子や、登壇した関係者のコメントなどを紹介する。 -
「スズキ・ジムニー ノマド」を徹底解剖! 兄弟車との詳しい違いと誕生の裏側を探る
2025.1.30デイリーコラムいよいよ日本導入が発表された、“5ドアのジムニー”こと「スズキ・ジムニー ノマド」。一見すると、ただの「シエラ」のロング版だが、その中身はかなり異なっていた。3ドアとの違いは? 品質は大丈夫? ジムニー ノマドの気になるところを徹底解説する。