すいしょう‐たい〔スイシヤウ‐〕【水晶体】
水晶体
水晶体
水晶体は外から入ってくる光を屈折させ,網膜に像をうつすという重要なレンズの役割をはたしています。また,単に光を屈折させるだけでなく,目にとって害のある紫外線を吸収し,紫外線が網膜に達するのをふせいでいます。 水晶体の特徴としては, (1)水晶体はほとんど水(65%)とたん白質(35%)からなりたっています。 (2)血管や神経は全くありません。そのため,他の器官のように血液から栄養をとるのではなく,房水(角膜と水晶体の間にある液)から栄養をとり,いらなくなった老廃物を房水の中にもどしています。 (3)水晶体の厚さは4~5mm,直径9~10mm,碁石のような形をした透明なもので,チン氏帯(毛様小帯)が付いてレンズをささえています。 (4)水晶体は外側から,水晶体上皮,水晶体皮質,水晶体核からなりたっています。水晶体核は赤ちゃんにはなく,年とともに水晶体皮質が増えながら中央へ移っていき,圧縮され,25歳ごろから硬くなり,だんだん淡黄色に着色して核になります。 (5)水晶体は新生児の場合はほとんど球形で強い屈折力をもっています。これは,眼球の前後径が短いために,光学的に手助けをしているためです。 |
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チン氏帯(毛様小帯)は毛様体と水晶体の間を結び水晶体を支えるはたらきをしています。また,毛様体の節肉(毛様体筋)と協力して,遠くや近くを見るときに水晶体の厚さを変えるはたらき(調節作用)をしています。 ・遠くのものを見るとき 毛様体筋がゆるんでチン氏帯がひっぱられレンズをひらたくします。 ・近くのものを見るとき 毛様体筋がちぢみ,チン氏帯がゆるんでレンズはまるみと厚みをもち,屈折力を増します。 なお,遠くや近くのものを見るとき,焦点を合わせるのにかかる時間を調節時間といいます。 |
水晶体
レンズ、水晶体
水晶体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/05 08:08 UTC 版)
水晶体 | |
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水晶体の伸縮によるピント調節 | |
眼球の断面図 | |
英語 | Lens |
器官 | 感覚器 |
水晶体(すいしょうたい、英: lens)は、脊椎動物の目の中にある組織。カメラでいう凸レンズの役割を果たす。
ヒトの水晶体
厚さは約4mm前後で、直径は約9mm。無色透明で、凸レンズの形状。眼球における屈折力の1/4から1/3を担っている。毛様体と呼ばれる筋肉がつながり、チン小帯で支えられる。
近くを見るときは毛様筋が収縮し、チン小帯が弛緩することで厚くなる。遠くを見るときは逆に毛様筋が弛緩し、チン小帯が引っ張られることで薄くなる。このようにして遠近にピントを合わせる。
長時間近くを見続けるなどすると緊張により一時的に元に戻らなくなることがある。(「遠くを見ようとするとかすむ」感覚。)この状態を「仮性近視」と呼び、常態化すると近視となると言われているが俗説である。
水晶体は加齢とともに硬くなるため、焦点を調整することが困難となる。
発生
外胚葉から発生する。
イモリの場合、表皮部の外胚葉が神経外胚葉の一部を誘導し、眼杯を形成させる。そしてその眼杯では表皮部の外胚葉から水晶体が誘導される。このあと眼杯は網膜となり、水晶体は角膜を誘導する。
構造
水晶体核、水晶体皮質
実際にピントの調節作用を担っている部分。クリスタリンなどの水溶性蛋白質と、アルブミノイドなどからなる。
上皮
上皮細胞からなる。
水晶体嚢
核と皮質を入れる袋のようになっている。膜蛋白質からなる。水晶体嚢も参照。
水晶体脱臼
水晶体の位置異常のうち、後天的に生ずるものを水晶体脱臼(英:dislocation of the lens、独:Linsenluxation)という。外傷その他の原因によって起こるが、外力によるもののみを指す場合には特に外傷性水晶体脱臼 traumatic lens dislocation ともいう。眼球に外力が加わり、裂傷を伴うことなく前房内、硝子体内に脱臼(抜け落ちる)する場合、また、眼球破裂の結果として結膜下もしくは結膜外に脱臼する場合などがある。前房内の脱臼においては瞳孔閉鎖を生じ、緑内障を併発することがある。硝子体内の脱臼では、毛様体の刺激により虹彩毛様体炎を起こすことがある。
症状として、視力障害が現れる。治療に際しては、顕著な脱臼であれば水晶体を摘出する。
外傷によるもの以外では、骨格異常のマルファン症候群で水晶体偏位を伴うことが1914年、Boergerにより指摘されており、水晶体脱臼はマルファン症候群の診断上重要な症状の1つである。マルファン症候群の多くは常染色体性優性遺伝を呈する。
また、シスタチオニン合成酵素の欠損による常染色体性劣性遺伝疾患のホモシスチン尿症でも水晶体脱臼を呈する。
疾患
関連項目
「水晶体」の例文・使い方・用例・文例
- 目の水晶体.
- 白内障になると目の水晶体が白濁する.
- (眼球内の)水晶体
- 光線が共通の焦点に集まるのを阻み、ゆがんだ像をもたらす球面曲率からの偏位により引き起こされる目または水晶体の欠陥の、あるいは、光線が共通の焦点に集まるのを阻み、ゆがんだ像をもたらす球面曲率からの偏位により引き起こされる目または水晶体の欠陥に関する
- 水晶体のすべてあるいは一部を取り除き、眼内レンズ移植と取り換える目の手術
- 水晶体全てが取り外される白内障手術
- 水晶体の正面だけが取り除かれる白内障手術
- 無水晶体症の、無水晶体症に関する、または、無水晶体症に苦しむ
- 近見と遠見の両方を可能にするヒンジを含む水晶体移植(そのため、若者の自然の水晶体を擬態している)
- 目の水晶体の調整の、または、目の水晶体の調整に関する
- 角膜と水晶体の間にある、眼球内の透明な流体
- 水晶体核を囲む組織
- 目の水晶体を覆う薄い中胚葉膜
- 無水晶体症に苦しむ人
- 反射したり透過したりした光のもとでの水晶体の構造の中で見られる、6つの光線を放つ星の形をした図形
- 目に水晶体がないこと(通常、白内障手術の結果)
- 外傷、手術、緑内障や白内障の合併症で生じる虹彩、水晶体、角膜の癒着
- 虹彩と水晶体の癒着
- 目の水晶体が混濁する眼病
- 水晶体皮質に影響する白内障
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