丸紅子会社で繊維商社の丸紅ファッションリンクは、「ナイジェル・ケーボン(NIGEL CABOURN)」を展開するアウターリミッツを完全子会社化した。社長には丸紅ファッションリンク出身の金子宏史氏が1月30日付で就任した。
アウターリミッツは2007年に設立。年商は約15億円で、社員数は40人。「ナイジェル・ケーボン」の日本とアジアでの商標権を有しており、中目黒の旗艦店を筆頭に全国に12店舗を展開してきた。アバハウスインターナショナルが70%、創業者の勝勇(すぐれ・いさむ)前社長が30%の株式を所有しており、丸紅ファッションリンクがすべて買い取る。買収金額は非公表。なお勝氏は引き続き取締役に留まり、同社の事業を支援する。
丸紅ファッションリンクはこれまでアウターリミッツのOEMを担っており、そのことが買収につながった。買収を機に、主力の「ナイジェル・ケーボン」を拡大させるほか、新たなブランドも獲得し、5年後に売り上げを倍増の30億円に引き上げる考え。金子社長は「優れたモノ作りとブランド・リテールのノウハウを持つアウターリミッツを軸に、丸紅ファッションリンクの資金力やモノ作りのネットワークを融合し、ブランドビジネスを拡大する」と語る。
金子社長は「ナイジェル・ケーボン」を「優れたモノ作りで日本だけでなくアジアでも高い知名度と人気がある」と評価した上で、「日本で販売する8割はアウターリミッツが企画・生産しており、同様の高いモノ作りの力がある。世界観を重視し、高い接客力も必要だったため、これまでは出店先はかなり絞ってきた。ただウィメンズにはまだまだ伸びしろがあり、若い世代への認知度もまだ高める余地がある。メンズ・ウイメンズの複合店やトラフィックの多いエリアの商業施設への出店を今後は積極的に検討する」と語る。
また、アジアでも中国や韓国などに卸先を有しており、中国・北京には路面店もある。中目黒の旗艦店は、円安を機にすでに4割がインバウンド売り上げになっており、今後は海外展開も強化する。
アウターリミッツは「ナイジェル・ケーボン」のほか、米国のアウトドア「フィルソン(FILSON)」なども扱っているが、25−26年秋冬向けから新たに「ベルスタッフ(BELSTAFF)」の独占輸入権も獲得した。「いずれは『ナイジェル・ケーボン』に次ぐ柱に育成したい」(金子社長)。