ツイッタージャパンは「いずれXを含んだ社名に」…日本でエンジニアを「今後かなりの人数採用」
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X(旧ツイッター)日本法人トップの松山歩・代表取締役(47)が読売新聞のインタビューに応じた。「日本のアニメや映画を、Xを通じて世界にどんどん発信していく」と述べ、日本発の動画配信を強化する方針を明らかにした。「インプ稼ぎ」と呼ばれる収益目的の投稿については、AI(人工知能)を活用した対策に努めると強調した。(ニューヨーク支局 小林泰裕)
Xでは4月、日本の人気漫画が原作のアニメ「怪獣8号」の配信を始めた。テレビ放送と同時に全世界に配信する初めての取り組みで、世界中から反響があったという。松山氏は「日本が世界に誇る資産であるアニメを中心に、映画、スポーツ、ニュース番組など、日本のコンテンツの配信を進めていく」と話した。
近く、スマートテレビ向けのアプリ提供を開始し、Xに投稿された動画を大画面で視聴できるようにすることも明らかにした。
Xオーナーのイーロン・マスク氏は、かつてX上で好きなアニメを問われ、「君の名は。」や「千と千尋の神隠し」を挙げるなど、日本アニメに関心を持つことでも知られる。
日本でのXの2023年の1日あたり利用者数は約4000万人で、米国に次ぐ世界2位。22年から3%増えた。今年1~3月の平均利用時間は1日あたり43分で世界一だったという。今後は検索機能にAIを導入し、検索結果を要約したり、おすすめの投稿を表示したりできるようにするという。
Xは昨年12月、日本でのアプリ開発拠点の新設を公表し、エンジニアの採用を進めてきた。松山氏は「日本でのサービス拡大のため、今後かなりの人数を採用していく」と話した。
一方、1月の能登半島地震ではX上で偽情報が拡散した。昨夏に導入された、インプレッション(閲覧数)に応じて広告収益を分配するシステムが一因とみられる。松山氏は「広告収益の配分自体は今後も続けていく」と述べた上で、AIによる偽情報の検出や、悪質なアカウントは追跡して削除するといった対策を強化すると強調した。
松山氏は「言論の自由を守りながら様々なレベルで体制や投資を強化する」とも述べたが、具体的な内容については明言を避けた。
日本では最近、SNS上で有名人になりすまして投資を呼びかける偽広告の問題も深刻化している。松山氏は「Xでは昨年、認証マークがなければ広告を出稿できない仕組みを導入した」と述べ、広告主の審査を厳格化していると明らかにした。
マスク氏は「ボット」と呼ばれる自動投稿プログラムを減らすため、新規ユーザーの投稿を有料化する方針を明らかにしている。日本も対象となる可能性があるが、松山氏は「高い料金を設定すると利用者に影響が出る」と述べ、導入された場合はあくまで少額課金となる見通しを示した。
また、現在の社名は「ツイッタージャパン」のままだが、「いずれ『X』を含んだ社名に変更する」と述べた。