○NHKホール ミラノ・スカラ座日本公演2013『リゴレット』(2013年9月15日、13:00~)
9月三連休の東京行きは、国立劇場の声明公演『天野社の舞楽曼荼羅供』を目的に、早くから決めていた。今月に入って、ほかに何かイベントはないか探していたら、ミラノ・スカラ座の日本公演があることを見つけた。私はオペラ好きでもあるのだが、「ナマ」のオペラを劇場で聴いたのは、10年以上前が最後だと思う。もうチケットはないだろうな、と思って、期待せずに探してみたら、15日(日)『リゴレット』のB席がわずかに残っていた。大好きなヴェルディ。大好物のリゴレット。NHKホールの3階席で、48,000円。たぶん札幌-東京の往復飛行機代より高い。でも、行っちゃえ!と思って、買ってしまった。
当日は台風18号の接近で、朝から強い雨が降っており、まさか中止にならないよね?とドキドキしたが、昼には小降りになった。曲は2回の休憩を挟んで、約4時間。ぜんぜん飽きない。何度も何度も聴いているので、音楽の構成もドラマの構成も分かり切っているのに、楽しくてたまらない。金色を基調とした舞台美術は、豪華でかつ残酷な宮廷文化の雰囲気を盛り上げていた。衣装も華やか。やっぱり、現代的な演出より、時代性に忠実な舞台のほうが好きだ。
指揮はグスターボ・ドゥダメル。音楽のことは、よく分からないので、あまり語ることはない。出演者の中で、私が知っていたのは、主役のリゴレットを演じたレオ・ヌッチくらいだ。私がもっと熱心にオペラを聴いていた学生時代(30年前)には第一線だったはずだから、ずいぶん長く現役を続けているなあと思ったが、公演のあとで、1942年生まれの71歳と知って、本気で驚いた。あり得ない~。でも、リゴレットは劇中で「老いぼれ」と揶揄され、自嘲する役だから、このくらいの年齢で演じてこそ味が出るのかもしれない。
マントヴァ公爵のジョルジョ・ベッルージは、天に突き抜けるような朗らかな声質で、とっても良かった。この役は、むしろ薄っぺらいくらいの能天気な美声でないと、ドラマが成立しない。ジルダはマリア・アレハンドレス。この役は、解釈のしようがいろいろあって、私はもう少し落ち着きのある(内省的な)ジルダのほうが好きだが、「老いた父親」を演ずるヌッチとの対比では、こういう「若い娘」らしいジルダもいいのかもしれない。スパラフチーレのアレクサンドル・ツィムバリュク、マッダレーナのケテワン・ケモクリーゼもよかったと思う。でも、歌手がどうこうでなく、やっぱり旋律がいいのかなあ、この曲は。
第二幕、公爵への復讐を誓うリゴレットと、公爵の身を案じて苦悩するジルダの二重唱で幕が下りたあと、カーテンコールで、ヌッチが再びその二重唱を歌い出したときはびっくりした。思わぬ大サービス(だよね?)に、観客大喜び。第三幕の大詰めでは、客席に本気の緊張がはりつめていた。そして、終幕後、劇団員一同が顔を揃えて「SAYONARA」のカーテンコール。ああ、そうか、日本公演の千秋楽だったのね。鳴りやまない拍手に答えて、出演者たちは何度も何度も挨拶に出てきてくれた。
かくして至福の午後は終了。10年に一度の贅沢と思っていたが、2014年には、リッカルド・ムーティとローマ歌劇場来日公演があると知ってしまった。さすがヴェルディ・イヤー(2013年=ヴェルディ生誕200年)。歌舞伎や人形浄瑠璃で育った日本人にとって、「世話物」の構造に類似するヴェルディ作品は親しみやすいと思う。それにしても、来年、どうしよう。
9月三連休の東京行きは、国立劇場の声明公演『天野社の舞楽曼荼羅供』を目的に、早くから決めていた。今月に入って、ほかに何かイベントはないか探していたら、ミラノ・スカラ座の日本公演があることを見つけた。私はオペラ好きでもあるのだが、「ナマ」のオペラを劇場で聴いたのは、10年以上前が最後だと思う。もうチケットはないだろうな、と思って、期待せずに探してみたら、15日(日)『リゴレット』のB席がわずかに残っていた。大好きなヴェルディ。大好物のリゴレット。NHKホールの3階席で、48,000円。たぶん札幌-東京の往復飛行機代より高い。でも、行っちゃえ!と思って、買ってしまった。
当日は台風18号の接近で、朝から強い雨が降っており、まさか中止にならないよね?とドキドキしたが、昼には小降りになった。曲は2回の休憩を挟んで、約4時間。ぜんぜん飽きない。何度も何度も聴いているので、音楽の構成もドラマの構成も分かり切っているのに、楽しくてたまらない。金色を基調とした舞台美術は、豪華でかつ残酷な宮廷文化の雰囲気を盛り上げていた。衣装も華やか。やっぱり、現代的な演出より、時代性に忠実な舞台のほうが好きだ。
指揮はグスターボ・ドゥダメル。音楽のことは、よく分からないので、あまり語ることはない。出演者の中で、私が知っていたのは、主役のリゴレットを演じたレオ・ヌッチくらいだ。私がもっと熱心にオペラを聴いていた学生時代(30年前)には第一線だったはずだから、ずいぶん長く現役を続けているなあと思ったが、公演のあとで、1942年生まれの71歳と知って、本気で驚いた。あり得ない~。でも、リゴレットは劇中で「老いぼれ」と揶揄され、自嘲する役だから、このくらいの年齢で演じてこそ味が出るのかもしれない。
マントヴァ公爵のジョルジョ・ベッルージは、天に突き抜けるような朗らかな声質で、とっても良かった。この役は、むしろ薄っぺらいくらいの能天気な美声でないと、ドラマが成立しない。ジルダはマリア・アレハンドレス。この役は、解釈のしようがいろいろあって、私はもう少し落ち着きのある(内省的な)ジルダのほうが好きだが、「老いた父親」を演ずるヌッチとの対比では、こういう「若い娘」らしいジルダもいいのかもしれない。スパラフチーレのアレクサンドル・ツィムバリュク、マッダレーナのケテワン・ケモクリーゼもよかったと思う。でも、歌手がどうこうでなく、やっぱり旋律がいいのかなあ、この曲は。
第二幕、公爵への復讐を誓うリゴレットと、公爵の身を案じて苦悩するジルダの二重唱で幕が下りたあと、カーテンコールで、ヌッチが再びその二重唱を歌い出したときはびっくりした。思わぬ大サービス(だよね?)に、観客大喜び。第三幕の大詰めでは、客席に本気の緊張がはりつめていた。そして、終幕後、劇団員一同が顔を揃えて「SAYONARA」のカーテンコール。ああ、そうか、日本公演の千秋楽だったのね。鳴りやまない拍手に答えて、出演者たちは何度も何度も挨拶に出てきてくれた。
かくして至福の午後は終了。10年に一度の贅沢と思っていたが、2014年には、リッカルド・ムーティとローマ歌劇場来日公演があると知ってしまった。さすがヴェルディ・イヤー(2013年=ヴェルディ生誕200年)。歌舞伎や人形浄瑠璃で育った日本人にとって、「世話物」の構造に類似するヴェルディ作品は親しみやすいと思う。それにしても、来年、どうしよう。