スウェーデンではだいたい3年ごとに労使間の集団交渉が行われる。昨年春から各業界が順番に交渉を行っていき、そろそろ終わったかな、と思いきや、まだ交渉を始めて間もないところもあった。県の病院や市の医療部門で働く看護婦・看護士からなる労働組合のうちの一つ。対するのは、雇い主である県・市が所属するスウェーデン地方自治体連盟。
しかし、賃上げ交渉が決裂し、先週から2500人の看護士・看護婦がストライキに入った。5月に入っても労使間で妥協点が見出せない場合は、さらに1000人がストライキに参加するという。(この組合の加盟者数は85000人)
写真の出展:SVT
看護士・看護婦らの主張は「人々の生活に欠かせない上に、大学教育を要する貴重な職業であるのに、それ相応の評価がなされていない」というもの。同程度の長さの大学教育を要する理工系の職業などと比べても賃金が低く、また、一般の看護士資格のほかに特別な看護士の資格を追加教育を通して取得しても、給料の上昇がそれに見合ったものではない、という。
写真の出展:SVT
ストライキの中で聞かれるスローガンは
”Våran kunskap kostar pengar”
分かりやすく意訳すれば、
「私たちの技能は、金銭的にもっと高く評価されてもいい」
ということになるだろう。
医療に関わる仕事であるだけに、ストライキが始まると社会的機能の一部が停止してしまうことになる。ただし原則として、生命に関わる救急医療や、急を要する手術は通常通り行われることになっている。一方、閉鎖された県立病院などでは、入院患者を他の病院に移送したり、病院のスペースが足りなくなるなどの混乱も出ている。ただし、この組合の加盟者数85000人に対し、スト中なのは2500人程なので、大規模なスト、というわけではないようだが。
とはいえ、わずかでも社会的な混乱は免れない。一般のスウェーデン人はこのようなストライキをどう見ているのか? と気になるところだが、驚くことに大多数の人々が労働組合側を支持している。
写真の出展:Dagens Nyheter
ストが決行されてから行われた世論調査での問いは「看護士・看護婦が高い給料を求めてストライキを行っているが、これは正しいと思うか、間違いだと思うか?」。これに対し、85%の人が「正しい」と答え、「間違い」と応えたのはわずかに5%という。残りの10%は「分からない・無回答」。
これは、今回のストがまだ小規模だからだ、と思われるかもしれないが、1995年に看護士・看護婦ストがより大規模に、そして7週間も続いたときや、2003年に市の福祉・医療・清掃・育児職員や教員などが大規模なストを行ったときも、大多数の国民が労組側に理解を示したという。
ある新聞の論説によると、医療部門の職員はストライキの際に国民の支持を得やすいという。国民の多くが、社会に欠かせない職業だとしっかり認識しており、彼らの日々の努力を知っているので、他の職業よりも共感しやすいようだ。
しかし、賃上げ交渉が決裂し、先週から2500人の看護士・看護婦がストライキに入った。5月に入っても労使間で妥協点が見出せない場合は、さらに1000人がストライキに参加するという。(この組合の加盟者数は85000人)
看護士・看護婦らの主張は「人々の生活に欠かせない上に、大学教育を要する貴重な職業であるのに、それ相応の評価がなされていない」というもの。同程度の長さの大学教育を要する理工系の職業などと比べても賃金が低く、また、一般の看護士資格のほかに特別な看護士の資格を追加教育を通して取得しても、給料の上昇がそれに見合ったものではない、という。
ストライキの中で聞かれるスローガンは
”Våran kunskap kostar pengar”
分かりやすく意訳すれば、
「私たちの技能は、金銭的にもっと高く評価されてもいい」
ということになるだろう。
医療に関わる仕事であるだけに、ストライキが始まると社会的機能の一部が停止してしまうことになる。ただし原則として、生命に関わる救急医療や、急を要する手術は通常通り行われることになっている。一方、閉鎖された県立病院などでは、入院患者を他の病院に移送したり、病院のスペースが足りなくなるなどの混乱も出ている。ただし、この組合の加盟者数85000人に対し、スト中なのは2500人程なので、大規模なスト、というわけではないようだが。
とはいえ、わずかでも社会的な混乱は免れない。一般のスウェーデン人はこのようなストライキをどう見ているのか? と気になるところだが、驚くことに大多数の人々が労働組合側を支持している。
ストが決行されてから行われた世論調査での問いは「看護士・看護婦が高い給料を求めてストライキを行っているが、これは正しいと思うか、間違いだと思うか?」。これに対し、85%の人が「正しい」と答え、「間違い」と応えたのはわずかに5%という。残りの10%は「分からない・無回答」。
これは、今回のストがまだ小規模だからだ、と思われるかもしれないが、1995年に看護士・看護婦ストがより大規模に、そして7週間も続いたときや、2003年に市の福祉・医療・清掃・育児職員や教員などが大規模なストを行ったときも、大多数の国民が労組側に理解を示したという。
ある新聞の論説によると、医療部門の職員はストライキの際に国民の支持を得やすいという。国民の多くが、社会に欠かせない職業だとしっかり認識しており、彼らの日々の努力を知っているので、他の職業よりも共感しやすいようだ。