登録日:2025/01/26 (日) 18:02:52
更新日:2025/02/09 Sun 08:08:31
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拙僧には、お主らが眩い。憧れさえ抱く。
何故に血を流し、死力を尽くしてまで相争うのか。
そこまでして譲れぬほどのものを胸に抱いて生きることは、どれほど鮮烈な、喜悦に満ちた命であろうか。
何故人は生きるのか。私には、その価値も理由もわからなかった。
だが今はもう、全ての命が愛おしい……!
そう、こんなにも美しいものの糧となり、輝きを添えるというのなら、嗚呼、なんと命とは尊いものか!
嗚呼、私は今ここに、生きる意味を得た!この剣が与えてくれた!
我が媛、麗しの君が!
CV:
石田彰
キャラクターデザイン:なまにくATK
概要(諦空)
初登場は第2期の3話。毒に侵された農夫を、気功を駆使して治療する場面で登場。
この功績を護印師に見られた彼は、毒に侵された伯陽侯を治療し、感謝されることとなる。
黒の長髪を螺髪(御仏に観られる巻貝のような髪型)にして纏めた、どこか不健康そうな見た目をした青年。
修行のために東離の各地を旅して回っている行脚僧であり、日々鍛錬に励んでいる。
気功術の扱いにも優れており、それを使って各地の怪我人や病人の治療も施して回っている。
「出会う者に求められたものを差し出す」という誓いを立てているらしい。
しかし、そうした依頼を受けた際や他人の行動に対し
「意味」を問う癖があり、それに答えが返らない限り行動を起こさない。
この問いは、一見すると「道理に納得しない行動は僧侶が許すはずはない」という仁義に則ったものであり、作中では伯陽侯や
殤不患らは「仁徳者」と思い、違和感に気づかなかった。
だが、
浪巫謠と
聆牙だけはこの質問の破綻性に気づいていた。
裏を返せば、
「『意味がある』と答えを返せば、悪行であろうと躊躇なく賛同してしまう」という危険性も孕んでいるのだ。
これを直感で感じ取った浪巫謠は、彼を「悪」だと断じ、倒そうとしていた。
これには殤不患は当初は止めようとしたものの、後に諦空と再会した際、「自分が助けた
蠍瓔珞が、また自分が助けた農地の夫妻を殺した」事実に大して関心を示さないばかりか、
「因果とはかくも虚しい。人を助けるのもやはり無意味だった」とあまりに非情な物言いをしたため、彼の悪性にようやく気づき、呆れている。
実は彼は、生まれつき自分の人生も、他人の命も、人が戦う理由も、全てが「無意味」に思えて仕方なく、生きることさえ他人の絵物語を見ているような感覚であり、空虚な人生を送ってきた。
他人が笑い、怒り、時には欲望を抱いて戦う様を見て、憧れさえ抱いており、自分もまた、そのような喜悦に満ちた人生を送りたいと思っていた。
この空虚そのものの人生を送る彼に、殤不患は怒りを抱えて「そんなに答えを簡単にくれてやるなら業腹だ。あんたは一生、悩み続けて生きるがいい!」と突き放した。
一方で、ひょんなことから知り合い、話し相手になった蠍瓔珞には、「忠義の行いもまた無意味である」という言葉から、自分の禍世螟蝗への忠義に疑問を抱くきっかけを与え、結果的に彼に恩義を感じるようになった。
やがて、蠍瓔珞の隠れ家に度々顔を出すようになった彼は、そこであるものを発見する。
それこそが彼の本当の
「生きる意味」。魔性の剣
「七殺天凌」であった。
こんなにも尊いものが血を求め、美しく輝くというのなら……。
フハハハハハ……!
嗚呼、この世は戦うに値する。命は奪うに値する!
概要(婁震戒)
七殺天凌を得た諦空の新たな姿にして、彼の俗名。
螺髪は解かれ、ストレートの長髪を晒しており、髪の先端は血のように真っ赤になっている。
かつては凄腕の剣客だったが、この世の全てが無意味に思えたので、俗世を離れ僧侶として旅に出るようになった。
そんな中で、蠍瓔珞との出会いを機に七殺天凌を発見し、彼女のそのあまりに凶悪な魔性と美しさに本心から心を焦がれ、「この世で最も美しく尊い、意味のあるもの」と思い込み、彼女を「媛」と仰いで人生の全てを捧げる決心をする。
なお、七殺天凌自身が放つ魅了の魔力には全くかかっておらず、彼の空虚で倫理観に欠けた心が、彼女の持つ邪悪性に合致し、自分の意志で心惹かれている。
それ以来、彼は価値基準の全てを七殺天凌中心とし、「全ての命は『七殺天凌の供物』として存在し、それ以外の意味はない」という凶悪な信条を抱いてしまい、あらゆる命の殺戮を平然と行える殺人鬼と成り果てた。
媛たる七殺天凌には壮絶な執着心を抱いており、匹敵する神誨魔械があると聞きつけたものなら、「世に麗しい剣は我が媛のみ」として、神誨魔械を悉く破壊してしまうほど崇拝している。
そして七殺天凌を奪おうとする者がいれば、鬼神の如き執念で追い回し、確実にその人物を殺そうと躍起になる。このため、七殺天凌を封印しようとしていた殤不患には強烈な殺意を向けていた。
更に、「私が死ねば媛は次の持ち主に行ってしまう。ならば誰もいない場所で果てれば永遠に私と二人きりになれる」という激しい独占欲から、無理心中すら決めようとするほどの常軌を逸した思考を持つようになった。
これには、当初は婁震戒を「優れた使い手」と思い、重宝していた七殺天凌もまた、あまりの異常性に恐怖するようになった。
しかし、彼はあくまで「剣である七殺天凌」に全ての価値を置いており、彼女が「剣」でなくなった時には全く興味を示さない。
戦闘面
凄腕の剣客という過去もあり、七殺天凌を圧倒的な剣術にて捌き、並の剣客であれば歯も立たずに惨殺死体と化してしまう。
更に、気功術に優れていたのもあって、それを駆使した戦法も併用して行い、肉弾戦としても隙が無い。
第3期では鬼奪天工の開発した義手を武器として難なく操り、殤不患と萬軍破の二人を相手に善戦したほどである。
義手
右腕を失った婁震戒のために鬼奪天工が開発した義手。
手首の部分はウインチワイヤー機能がついており、遠くのものを掴んで移動することが可能。
また、剣として分離し、近接戦闘も可能であり、七殺天凌と再会する前の仮の武器として活躍した。
必殺技
七殺天凌を駆使した必殺技。剣圧により高密度の魔力場を発生させ、敵を圧倒する。
七殺天凌を駆使した必殺技。七殺天凌の魔力を加え、超高熱の炎を発生させる。
義手を剣として用いた必殺技。周囲の魔力を吸引して強力な斬撃技を放つ。幻術の効果を打ち消す副作用もあり。
活躍
第2期
前述のように、蠍瓔珞の隠れ家で七殺天凌を発見し、彼女を生きる意味と見定める。
手始めに、前の持ち主である蠍瓔珞を惨殺し、七殺天凌に気に入られる。
次に、各地を見回り中の仙鎮城の護印師の一団を皆殺しにし、更には仙鎮城へと乗り込み、次々と護印師を葬り去る。
この時、護印師の碧樞が神誨魔械「誅荒劍」を駆使して彼に挑むが、婁震戒は臆することなく、飛んできた剣を、気功術を駆使して肘と膝で挟んで受け止め、挙句へし折るという離れ業で対応してのける。
結果、逃がされた伯陽侯以外の護印師は全滅し、仙鎮城は陥落。保管されていた神誨魔械も全て破壊した。
そこへ駆けつけた浪巫謠、聆牙と対決し、当初は蠍瓔珞の時と同様に目をつぶって戦う戦術に苦戦するも、「石を地面に投げつけ、弱点である聴覚を撹乱する」戦術により形勢逆転。
浪巫謠に手傷を負わせて勝利を確信したが、そこへ現れた
凜雪鴉によって、
「誰だか知らないが高笑いをしているだけで癇に障る」として、彼に壊れた風笛を押し付けられ魑翼に連れ去られてしまった。
ちなみに、凜雪鴉は
嘯狂狷の一件で愉悦に失敗したことで腹を立てていただけで、婁震戒が何者かも知らないまま魑翼の餌にしようとした。完全な八つ当たりである。
魑翼に連れ去られた婁震戒と七殺天凌は、なんとか窮地を脱して鬼歿之地へと降り立つ。
だが、婁震戒は「こんな無人の地で心中すれば私と媛の邪魔をされることはない」として、七殺天凌が必死に抵抗するのを無視して地割れに飛び込もうとする。
そこへ、殤不患に翼を斬られ、凜雪鴉におちょくられて浪巫謠に角を折られた竜の歿王が現れ、彼を嬲り殺しにしようとする。
しかし、心中を邪魔されたことで激昂した婁震戒は、歿王を「本当の嬲り殺し」に遭わせ、見事にこれを打倒。あまりの強さに七殺天凌は完全にドン引きした。
そこで、七殺天凌は彼から離れるために「殤不患が妾の使い手に相応しい」と言って関心を逸らそうとする。
だが婁震戒はそれにより殤不患に強烈な殺意を向け、東離に戻るや否や、とりあえず殤不患に追われていると言ってきたボロボロの嘯狂狷を殺し、挑戦状として殤不患の見せしめにし、一同を魔脊山へと呼び出した。
魔脊山で殤不患相手に互角以上の戦いを繰り広げる中で、七殺天凌の魅了により殤不患を屈服させようとする。
しかし、凜雪鴉が喪月之夜を殤不患に使用したことで魅了の魔力対策を講じられ、更に浪巫謠との連携や気功術で殤不患に上回られたことで、七殺天凌を手放してしまう。
宝具の筆で魔剣目録に封印されそうになった七殺天凌を助けるために飛び出し、右腕を犠牲にしてまで奪還した彼は、七殺天凌を抱いたまま魔脊山の谷底へと落下していった。
第3期
魔脊山の谷底に落下したものの、七殺天凌から魔力を全て分け与えられることで、辛うじて生きながらえていた。
魔脊山で七殺天凌を落としてしまい、探し歩くうちに無界閣へと入り込んでしまい、更には逢魔漏に触れて異世界へと送られる。
そこで、技師の鬼奪天工に介抱され、自分と協力して西幽へと帰ろうと提案される。
鬼奪天工から特殊な法術により作り出された右腕の義手を付けられ、彼と一緒に空中の時空の穴へと飛び込む手筈だったが、鬼奪天工の「あんたの落とした剣なんか儂の義手に比べれば鉄屑も同然」の発言に激怒。
彼を打ち倒して転移装置を壊し、自分だけ無界閣へと戻った。
無界閣でまた逢魔漏を見た時、殤不患の姿を目撃した彼は、七殺天凌も奪われたと誤解し、それに触れて西幽へと転移。
殤不患と
萬軍破の激闘の真っ最中に乱入し、状況を混乱させるだけ混乱させ、神蝗盟の幻術をも解いて彼らの邪魔をし、逃げた殤不患達を追ってその場を去った。
殤不患達は結局見つからなかったが、代わりに西幽の捕吏に見つかり、彼らが殤不患を追っていると知り、「殤不患の居場所を知っているから主に会わせろ」と交渉。
その甲斐あって、西幽の皇女・嘲風と接触した彼は、殤不患の討伐を彼女に誓い、代わりに軍を自分に貸し与えるよう依頼する。
婁震戒の愛故の執念に自分と同じものを感じた嘲風はこれを気に入り、萬軍破と共に一軍を彼に貸す。
萬軍破が神蝗盟の一員であると知っていたため、迂闊に婁震戒に口出しできない彼は、渋々婁震戒を無界閣に連れて行くことに。
この時、神蝗盟に取り入った凜雪鴉を見て激怒し攻撃にかかり、彼から
「七殺天凌を殤不患から取り戻してやる」と言いくるめられそうになるも、信用はしなかった。
この狂犬ぶりに、
異飄渺は
「何故こんな奴を引き入れたのです?」と萬軍破に文句を言っている。
西幽の軍人達に対してもろくな指示も出さず、彼らから不信感を買い、外様の分際で偉そうに振る舞い、殤不患を逃がした
刑亥達を
「この役立たず共めが!」と罵っている。
そんな中、無界閣をさまよううちに、刑亥と一緒に照君臨の再臨の計画を練っている七殺天凌を発見。再会の喜びに小躍りする。
七殺天凌からは「凜雪鴉を魅了して殤不患から奪い取らせた」と嘘の言い訳と、「本来の力を取り戻す」ための計画に協力するよう依頼される。
「媛が更なる輝きを得られる」と狂喜した婁震戒は賛同するが、やはり七殺天凌からは引かれていた。
そして、魔界の魔力を得て力を増した逢魔漏を使って、七殺天凌、刑亥と共に過去へと飛び、刺殺された直後の照君臨を捕らえるが、その七殺天凌自身でもあった照君臨には何の興味も抱いていなかった。
刑亥の死霊術で七殺天凌の中の魂が照君臨として蘇った際も、剣である七殺天凌に魂が消えたことにのみ動揺した挙句、「我が寵愛の栄に浴するがいい」とご機嫌な照君臨を「貴様は一体何者だ!?この私の媛から何を奪っていった!?」と問い詰める。
更に、直接誘惑してきた照君臨を突き飛ばして彼は叫んだ。
違う!!我が麗しの主は、この姿形を置いて他にない!!
はぁ?
この世で最も尊く、美しき剣であらせられた……!!
そう、婁震戒が恋焦がれていたのは「魔性の剣たる七殺天凌」でしかなく、彼女が「剣の姿」でなくなった以上、その存在は無価値となったのだ。
自分の美貌に絶対の自信があった照君臨は流石にこの盲目ぶりに呆れ果て、「ここまで厄介な男は地上にも魔界にもおらなんだ!」と吐き捨てている。
照君臨にもう一度剣の姿に戻るよう懇願する婁震戒だったが、彼女は完全に彼に愛想が尽きたので、彼を気絶させ過去の世界に置き去りにしていった。
そのまま現代へと帰る機会を失ったと思われたが、無界閣にて照君臨との最終決戦が行われる中、逢魔漏の使い方を把握した凜雪鴉(異飄渺と入れ替わっていて無事だった)が、彼をこっそり「召喚」させていた。
さっき私も、失せ物探しに使ってみたばかりだ。鏡よ鏡、照君臨を一番困らせる男はだぁ~れ?、とね。
な、何ィイイイ!?
さあ、あるべきお姿に戻られませい!!
し、震戒……!!貴様……!!
おお!この輝き、この冷たさ!これでこそ麗しの我が君……!
婁震戒は、かつて七殺天凌だった剣を照君臨に突き立て、彼女の魂を再び剣に封印する。
そして、凜雪鴉との取引で、「二度と戻って来ない」ことを条件で逢魔漏を得た彼は、七殺天凌と共に、誰も邪魔の入らない「二人だけの世界」へと旅立つ。
な、何をする気だ!?震戒!?
媛……今度こそ、我らの約束の場所へ参りましょう……。
そうして彼がやって来たのは、無限の闇が広がる宇宙空間だった。
嗚呼、この闇、この静寂……。まさに待ち望んだ、結末……。
麗しの媛を抱きながら、彼は酸素のない空間で徐々に冷たくなっていく。その顔は、誰よりも満足そうで幸せに満ちたものであった。
しかし、彼には「永遠の地獄」に囚われた媛の悲鳴は最後まで届かないままであった。
余談
- 元々は、星海社企画のTRPG『レッドドラゴン』にて、虚淵玄氏がキャラクター原案を書き起こしたプレイアブルキャラであり、七殺天凌と当時からセットのキャラだった。ただし、同作での読みは「ロー・チェンシー」である。
- 『サンファン』では最も自由で、最も作中で好き放題やったキャラとしてある意味人気を得た。好き放題やった挙句最後も幸せに終わったのはこの男くらいだろう。
この麗しきWikiを、天上の項目を、誰の目にも触らせたくない、誰の手にも追記・修正することを許さない。
そう思うのも、当然のことでは?
- 誰にも邪魔が入らないところで一生二人きり!やったね! -- 名無しさん (2025-01-26 18:18:48)
- 関わった存在全てに迷惑かけてるんだから凄いよなあ。 -- 名無しさん (2025-01-26 18:30:02)
- 3期で七殺天凌が神蝗盟内で見つかりそうになった際に露骨に嫌がってるのが面白かったわ -- 名無しさん (2025-01-26 18:52:35)
- 魅了能力持ちが魅了の効かない相手に出会い……って割とあるのにどうしてこうなった -- 名無しさん (2025-01-26 19:29:16)
- 媛と同時に記事作成しなかったのは(媛にとっての)せめてもの慈悲かな? -- 名無しさん (2025-01-26 22:32:55)
- 彼にしてみりゃ、剣の七殺天凌が本来の美女の照君臨に戻るのなんて、好みの姿した女がGやハエに変身させられてしまったようなもんなんだよな。結局コイツも面食いじゃんか -- 名無しさん (2025-01-27 20:08:24)
- レッドラ勢だったのでこいつが正体現したとき夜中にテレビの前で爆笑しちゃったんだよな スターシステムとはいえ想定外すぎて -- 名無しさん (2025-01-28 21:57:21)
- レッドラの方だと相思相愛だったのにこっちはどうさて… -- 名無しさん (2025-01-31 23:56:33)
最終更新:2025年02月09日 08:08