七殺天凌(Thunderbolt Fantasy)

登録日:2025/01/27 (月) 19:40:51
更新日:2025/02/08 Sat 06:37:16
所要時間:約 ? 分で読めます






よろしい。これより始まる汝の覇道。飽食の宴で祝賀せん!


さあ、今一度天下に殺戮の饗宴を!
我こそは七殺天凌。
諸人の血潮を、欲望を、全て供物として召し上げる!










七殺天凌(ナナサツテンリョウ)とは、特撮人形劇『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』シリーズに登場する魔剣の一つ。



CV:悠木碧
デザイン:しまどりる



概要


初登場は第2期の2話。蠍瓔珞が奪い取った魔剣の一つとして登場した。

殤不患が魔剣目録に封印していた魔剣の一つで、ハート型を思わせる鍔に赤い宝玉が嵌められた、どこか女性的な印象のある剣。

実は、自らに命を宿した魔性の剣であり、使用者だけでなく、刀身を見た人間すらも魅了し、正気を失わせる魔力を秘めている。
魅了により正気を失った人間は、堪らず彼女が欲しくなり、奪い合い、互いに殺し合うようになる。
そうして魅了された人間を殺戮し、吸い取った血で使用者に絶大な魔力を与えることで依存性を高め、ますます自分の虜にし、殺人衝動を高めていく。

女性の人格を宿しており、性格は傲岸不遜にして苛烈にして貪欲。
なお一人称は「(わらわ)」で、その高飛車からして、使用者から「媛」の敬称で呼ばれる。
「全ての命は自分の供物」を信条としており、あらゆる人間を弄び、殺し、自分の糧とすることを愉悦とする大の悪食家。
使用者に対してもその態度は一貫しており、相手の意思を尊重するつもりは微塵もなく、自分の思うがままに操り、弄んで遊んでいる。
更に不興を買うようならば、容赦ない罰を与えて廃人同然までに追い込んだ挙句、最後には別の使用者に乗り換えて前任を殺させるという最悪の悪女。

しかし、ある男との出会いが、彼女の運命を大きく狂わせていくことになる……。



活躍・前編


本編以前


詳細は不明だが、西幽にて猛威を振るっていた際に、殤不患によって魔剣目録に封印された。
この時の殤不患は「小童」だったようで、再会までかなりの年月が経っていた模様。
この出来事を七殺天凌は度し難い屈辱に思っていたようで、殤不患への憎しみを滾らせていた。



第2期


魔剣目録の一部を蠍瓔珞が奪った際、彼女の持っていた部分に入っており、開封と共に封印を解かれた。
早速蠍瓔珞を魅了し、使わせようとするが、危険性を把握していた彼女からは捨て置かれる。
だが、蠍瓔珞は殤不患に勝てず煮湯を飲まされる日々が続き、その間も七殺天凌はじっくりかけて彼女に力の誘惑をかけ、追い込んでいく。

そして、喪月之夜を奪われ策を失い、敗走するほかなかった蠍瓔珞を、嘯狂狷ら捕吏が襲い、いよいよ殺されそうになる彼女に最後の一押しをかける。

結果、蠍瓔珞は意を決して七殺天凌を抜刀し、彼女の傀儡となってしまった。
捕吏達を殺戮して久々の血の味を愉しむ中、自分の存在を知り駆けつけた殤不患や浪巫謠と再会。
流石の殤不患も七殺天凌の魅了を直視できなかったため、抵抗するのに精一杯で、手傷を負わされた。
だが、七殺天凌は「ここで殺してはつまらぬ。奴の周囲の人間を殺し尽くして絶望させてから最後に殺す」と遊び心を出し、蠍瓔珞を撤退させた。

蠍瓔珞を新たな使用者と見込んだ七殺天凌だったが、彼女は次第に自分に恐怖を抱くようになり、七殺天凌はそれに失望を感じ始める。
試しに蠍瓔珞に一般市民を虐殺させてみたものの、駆けつけた浪巫謠の「目をつぶったまま戦う」魅了対策の戦術にあっさり遅れを取り、逃走する羽目になった彼女に怒りを抱く。
この後、散々彼女を詰った末に、罰として自分の血を捧げさせ、彼女の苦悶の声を嘲った。
だが、魅了に抵抗した蠍瓔珞から封印の札を貼られ、一旦眠りにつく。

そして、運命の出会いが訪れる。蠍瓔珞の隠れ家にやって来た行脚僧の諦空こと婁震戒である。
婁震戒を次の使い手に定めた彼女は、彼の自分に心酔した様子から魅了に見事に嵌ったと思い、手始めに蠍瓔珞を殺させ、その剣術から彼を気に入る。
だが、それが自分の破滅の始まりとは、彼女は知る由もなかった。

婁震戒は、仙鎮城の護印師達を次々と殺戮し、当初は七殺天凌も大量の血を吸って満足していたが、魔族の天敵である神誨魔械があると知って撤退を彼に促す。
だが、婁震戒は意気揚々と戦いに飛び込んだ末に神誨魔械に打ち勝ち、仙鎮城の神誨魔械を全て破壊した。
予想以上の働きに、七殺天凌も流石に驚愕する。
更に、浪巫謠と戦った際も、自分の魔力供給のアシストもあったが、魅了対策の戦術を逆手に取った戦法で浪巫謠をあと一歩のところまで追い詰めた手腕に更に驚嘆。

だが、凜雪鴉の邪魔が入り、婁震戒と一緒に魑翼に連れ去られ、鬼歿之地へと送られた。
「ここにいたら喰らう命もない」と不満を溢す七殺天凌だったが、婁震戒は「媛と二人きりになれたから寧ろ好都合。このまま心中して永遠に二人きりになりましょう」と常軌を逸した提案をする。
慌ててそれに反対するが、婁震戒の自分の話を全く聞かない様子を見て、彼が自分の魅了にかかっていないことに気づいた七殺天凌は、初めて人間に恐怖を抱いた。
おまけに鬼歿之地の主である竜の歿王を嬲り殺しにした婁震戒を見て、早く彼から離れる決意をする。

そこで、彼女は「殤不患が妾の使い手に相応しい」と煽ることで二人を戦わせ、婁震戒の手から逃れようとした。
だが、婁震戒は七殺天凌以外の剣にはまるで興味はなく、殤不患の抹殺に執念を抱く。
この気迫に、七殺天凌は「今後未来永劫彼に囚われ続けるのか」と苦悩する羽目になる。

そして魔脊山にて、殤不患と婁震戒の戦いが始まるが、殤不患は自分を凜雪鴉の持つ喪月之夜に斬られることで彼の傀儡となり、七殺天凌の魅了を封じる策に出る。
更には浪巫謠との連携でチャンスを作り、婁震戒の手から七殺天凌を落とすことに成功。
宝具の筆を使って再び魔剣目録の闇の中に封印されそうになり、絶叫する七殺天凌。





や……やめろォオオオ!!
い、嫌じゃ!!もう二度と、あの闇の中には戻りとうない!!

震戒ィイイイ!!!




だが、婁震戒が右腕を犠牲にしてでも彼女を庇い、彼に抱かれる形で共に魔脊山の谷底へと落下していった。





し、震戒……そうまでして……?

媛……もう二度と、御身を手放しません……。




その忠臣ぶりに、彼女は、婁震戒にほんの僅かだが心をときめかせる。
そして、谷底に落下した彼に魔力を与え続け、遂には魔力を枯渇させて意識を失った。






























フフフ……ハーッハッハッハッハ!素晴らしい……素晴らしいぞ!
妾の体内を、再び熱い血潮が巡っている!高鳴る鼓動が、この胸の内にある!







正体


その正体は、魔族の女の魂が封印されていた剣であり、元の名は照君臨(ショウクンリン)

キャラクターデザイン:なまにくATK

魔界きっての術師であり、200年前の窮暮之戰でも前線で活躍した高い実力を持つ魔族である。
ちなみに、刑亥の実の姉にあたり、彼女の一族の中でも一番の腕前を持っていたらしい。
魔宮貴族第八位の阿爾貝盧法とも顔馴染みであり、対等に話せることからも、魔宮貴族の間で一目置かれていたことが伺える。

吊り上がった目に凛々しい眉毛が特徴的な気の強そうな美女であり、ハート型に結ったヘアスタイルを愛用している。

窮暮之戰の後で地上に残った彼女は、まず新たに建国されたばかりの西幽に人間の女のフリをして潜入。
宮廷の端女として潜り込んだ後は、魅了の魔力を駆使して貴族の加護を得て、侍女、歌女として順調に出世し、遂には帝をも虜にして寵姫にまで上り詰める。
そのまま彼女は帝を籠絡し、悪政の限りを尽くさせた上に無辜の民草を次々と殺戮し、悪虐非道の妖姫として恐れられるようになる。
この所業は西幽の宮廷に呪いとして染み付いており、そのせいで皇族の中には嘲風のような「血に飢えた獣」が生まれるようになったらしい。
だが、あまりにやり過ぎたために護印師に怪しまれ、罠を張られた上に魔族であることがバレ、逃亡して断崖絶壁に追い詰められた末に、聖剣で刺されて海に落下し絶命した。

しかし、彼女は自身の血に術をかけていた。自分を刺し殺し、血を浴びた聖剣に自分の魂を移し替えたのだ。
照君臨の悪名が途絶えた150年の時を経て、宝物庫に保管されていた彼女は魔剣「七殺天凌」として復活する。
手始めに、自分を殺した護印師の子孫を魅了して一家を惨殺させた挙句に辻斬りの汚名を着せ、その後は殺戮を振り撒いては持ち主を替え、数多ものの剣士を弄び、血を喰らい続けてきた。
だが、その悪名が祟り、遂に啖劍太歳こと殤不患の手により、魔剣目録に封印されたのだった。



戦闘面


魔界トップクラスの術師とだけあって、凄まじい魔力を持ち、戦闘でも圧倒的な力で敵を翻弄する。
魅了の魔術も健在で、顔を見るだけで敵を虜にしてしまう。
並の人間であればまず勝機はなく、神誨魔械を装備した萬軍破や殤不患でさえも苦戦するほどである。
また、前述したように自分の血に魂を移す術を施してあるので、殺害はほぼ不可能であると言っていい。



活躍・後編


第3期


魔力を枯渇したところを婁震戒に落とされ、暫く無界閣に放置されていたが、無界閣内に魔族の気配を察知し、散策していた刑亥に発見される。
その後、刑亥から魔力を分けられて意識を取り戻し、暫くは刑亥の下で潜伏することに。

そして、神蝗盟に凜雪鴉が取り入ったことで彼らの利用価値がなくなった刑亥と共に、「逢魔漏の力を使って過去へ飛び、照君臨を復活させる」という地上侵攻のための計画を思いつく。
そこで彼女は、生前コネがあった阿爾貝盧法に協力を乞うが、「魔王の命令」を理由に彼は最初は断る。
だが、魔界に転移した浪巫謠を見て機嫌が良くなった彼に態度を翻され、魔界からの魔力供給を約束される。

途中、凜雪鴉に存在を気づかれて殤不患達に話された結果、一時は魔力の入った逢魔漏を壊され計画が破綻しかかったり、萬軍破にバレて危険視されたりしたが、なんとか綱渡りで乗り越える。
この時、腹いせに凜雪鴉(に化けた捲殘雲)を魅了して自分の虜にし、魔剣目録を奪うために捲殘雲(に化けた異飄渺)を殺させている。*1

紆余曲折を経て魔力の貯蓄に成功し、計画の前段階になって、遂に婁震戒に存在が知られたが、逆に彼を計画に引き込む。
なお、刑亥には「妾が人間に味方するなどあり得ん」と言ったものの、婁震戒には少なからず悪い感情を抱かなくなり、彼の執心に引きつつも満更ではなくなったようだ。

過去への跳躍をするにあたり、刑亥と話し合い「因果律の崩壊だけは避けなければならない」と助言を受けた彼女は、歴史の辻褄を合わせるために、跳躍点を「自分が殺され、死体が行方不明となった時間」に決める。

そして、逢魔漏を使って過去へと飛び、自分の死体を回収後、刑亥の死霊術で魂を再び肉体へと宿し、遂に照君臨として復活した。
この時、婁震戒を本気で自分に惚れさせようとしたが、「我が麗しの主は剣の姿でこそ」と、自分の本来の美貌を認めようともしなかった彼に失望。
結局、婁震戒に愛想が尽きた彼女は彼を気絶させ、元の時代に帰った。

元の時代では、萬軍破の反乱により逢魔漏を次々と壊されるが、阿爾貝盧法の根回しで魔界の霊脈に魔力が送られ、魔界の門が開放されたため、押し寄せた魔界の軍勢を率いて、萬軍破率いる西幽軍・神蝗盟の連盟と対決する。
魔剣目録を使って神誨魔械を取り出した萬軍破と戦うも、神誨魔械の力に耐え切れず、自壊しつつあった彼相手に余裕の態度で臨む。
だが、直後に殤不患が応援に駆けつけ、二人の連携により追い詰められるが、「不死身」というアドバンテージがあった彼女は勝利を確信。
そして、逢魔漏を使って外へと脱出し、地上で暴れようとする。

そこへ、実は異飄渺と入れ替わっていた凜雪鴉が現れ、逢魔漏を使って過去に置き去りにした婁震戒を引き出し、彼によって元の剣に再び封印されてしまう。
そのまま彼女は婁震戒に抱かれたまま、「二度と二人の間に邪魔が入らない」宇宙空間へと転移されてしまった。






い、嫌だ!!帰らせてくれ!!
誰か、助けてェエエエ!!
震戒!?返事をしろ!!妾を独りにするな!!

震戒ィイイイ!!!






唯一の味方だったはずの婁震戒が物言わぬ骸となり、七殺天凌の悲鳴は無限の宇宙に木霊する。そのうち照君臨は考えるのをやめた。
数多の人々の運命を翻弄し、殺し尽くした妖姫は、常軌を逸した人間の意思によって、「人の存在しない」永遠の地獄に囚われるという最大の罰を受けたのであった。










余談


  • 婁震戒同様、星海社企画のTRPG『レッドドラゴン』において虚淵玄氏がキャラクター原案を書き起こしたプレイアブルキャラとして生まれた。同作での読みは「チーシャーティエンリー」。なお、本作における七殺天凌の顛末は、『レッドドラゴン』において没になった展開の名残である。




  • 第4期において登場した魔宮貴族達が(不意打ちもあったとは言え)あまりに呆気なく命を落としたことにより、比較対象として「実は相当強かったのでは?」と言われている。


  • 第4期で、魔王・阿契努斯が「魔族に無くて人間にあるものは仁の心」と謳い、それを危険視していた。照君臨を破滅させたのは婁震戒の執念ではあるが、一見「仁の心」とはかけ離れているものの、ある意味では一番近いものかもしれない。










森羅の項目を追記・修正し尽くし、無限の筆力を与えてやろう。
望むなら、ランキング一位を取らせてやろう。
だが、その後は?妾は未来永劫、この男のWikiに囚われ続けるというのか……?

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀
  • 七殺天凌
  • 魔剣
  • 悠木碧
  • 悠木碧の本気
  • 悪女
  • 妖姫
  • 照君臨
  • 婁震戒被害者の会
  • ビッチ
  • 悪食
  • 吸血
  • 傾国の美女
  • 寵姫
  • 生き地獄
  • 因果応報
  • カーズ
  • 魔族
  • 妖魔
  • 悲惨な末路
  • ドS
  • 魅了
  • 魔性の女
  • 不死身
  • インテリジェンスソード
  • レッドドラゴン

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2025年02月08日 06:37

*1 ちなみに、捲殘雲は至近距離による魅了により、「三日三晩は解けないだろう」との見立てだったが、彼の変装を見抜いた丹翡にしこたま叩かれ、気を流し込まれて魅了が解けた。