2017-05-23

ハンバーグの正しい焼き方(解説

http://anond.hatelabo.jp/20170521074531

多少混乱させてしまったようなので、不本意ながら解説的な記事もしたためておく。

多くのハンバーグを出す店が、タネが冷たいままを維持しようとするのは恐らく事実だろう。

店どころかレシピサイトの多くもそう説明している。その理由は同じく、形が重要からである

冷たい状態だとタネは硬いままであるため形が崩れない。結果、お店だったならハンバーグの大きさや形をぐっと管理やすくなる。

もちろん客をさばくという観点から有効だ。温くなったタネはデロデロしててかなりゆるい。

それをフライパンの上でちまちま形成していたら、時間いくらあっても足りない。つまり商売としての解はそれであっているのだ。 

まり彼らは低温で焼き始めるところは譲れないから、焼く段階で美味しくする事で解決しようとする。

低温でじっくり火を通してみたり、逆にオーブンで全方位から高温で熱を加える事で「美味しい」状態に仕上げる。

ただそのための温度管理を家庭でやるには、より難易度が高くなるため、今回は、焼く前のハンバーグの温度をヌルくしておくという方法提示した。

 

さて、元記事では美味しいという定義基準曖昧にしたままであった。

しかしそれが説得力を欠いたようだったので簡単説明しておく。

好みの問題もあろうが、ステーキだとミディアムレアが美味しい焼き加減ではなかろうか。

ハンバーグもそれが出来れば良いのだか、それはできない。

 

まずハンバーグは生焼けはいけない。

コメントでもミディアムレアハンバーグと言っていた人が居たが、あまりオススメしない。

o111o157を始めとする病原性大腸菌は肉の表面につくと繁殖する。もちろん牛肉でもだ。

生食する場合は表面を削り取るトリミングという事を行ったり、表面を焼いて中は半生といったローストビーフ等が一般的だ。

牛肉筋肉はいない細菌でも、ミンチにしてしまうと、当然場所もごちゃまぜになり、居場所特定できないばかりか増殖していることも十分考えられる。

またお店のミンチにするための機械が豚や鳥肉も同一の機械を扱っていた場合カンピロバクターやe型肝炎危険性も生じうる。

もちろん、しっかりとトリミングされた牛肉ミンチにする直前に正しく洗浄されたミンサーで挽き、かつ挽いてすぐに焼く、というならレアでもよろしかろう。

だがそこまで信頼できる店があるだろうか。まぁ、食中毒にかかる可能性は実はそう高いわけではないので、博打好きならご自由にといった感じである

 

ということで、生では食べられないハンバーグ場合、多くのご家庭では安心のため十分に「よく焼く」という処理で安全マージンをとるのが一般的だ。

しかしこれが肉を不味くするのである。不味くするというのは、2パターンあって、ブコメ言葉を借りると焦げすぎの「炭化」と「焼きすぎ」の2つだ。

焼くという行為は、肉というタンパク質を温度で変化させる行為なのだが、実は味に関わるターニングポイントが3つある。

そしてそれらはすべて決まった温度とその温度帯にを維持した経過時間で決定づけられる。

50度くらいからの変化が第一段階、66度くらいからの変化が第二段階そして150度ぐらいからが第三段階だ。

おいしさで言うと、マズい→美味しい→マズい→美味しい→マズい。となる

実態は、生→美味しい→硬い→香ばしい→丸焦げ、である

肉はだいたい50度位が生じゃなくなる変化が起き始める温度だ。66度くらいから徐々に固くなっていく。肉汁感がなくなり、パサついた食感になる。150度以上になると、焦げ始める。

さて、美味い状態が2回も来るのは何だっていうと、焦げについてだ。

焦げは化学的にはメイラード反応という名前があるが、簡単に言うと、少しの焦げは香ばしくて美味しいよね、ってことだ。もちろん焦げが進むと当然、ただの炭のようになる。

まとめると、肉汁感がありパサついた感じでもない状態かつ、香ばしい状態っていう2重取りのような事ができればそれは「美味しい」って事だ。

その1つの答えがステーキだとミディアムレアとなる。

前述で好みの問題と書いたのは、その2種類ある美味しさのバランスでどっち(香ばしさか、肉の硬さか)を重視するかという点に尽きる。

 

ではハンバーグではどうか。ハンバーグ場合説明したように、レアは避けなければならない。

レアを避けつつ香ばしさを付し、かつ肉汁感のあるタンパク質状態に留めるという難題なのである

そしてそのための解が、前回の記事である

レシピ解説に入る。

1、タネの温度を高めておく事で肉中心部と肉表面との温度ギャップが小さくなる。

すると、中心が焼けてないために、火を入れすぎて表面が焦げ過ぎる、全体的に硬い、という事を回避できる。

2温度ギャップの解消で肉を厚くできる。

香ばしくするためのコゲ(表面)から遠い部分が多くなる。

焦げに近い部分はどうしても硬い肉になることを避けられないが、遠い部分は肉汁感をもった肉として存続できる。

3スチーム焼きすることで一気に火を通す。

散々記したように、ある温度を過ぎるとタンパク質が変化し始めるが、変化には経過時間という、微妙ながらタイムラグを与えられている。

まり高温である時間を減らした方がいいのだが、そのためには全方位からの加熱が必要なのだ

熱が加わるのがフライパンの面からだけだと、十分に火が通る頃にはフライパンに接する部分の肉の温度だけが高くなりすぎて、パサついたり焦げたりするためである

こういった点を踏まえると、タネが多少ゆるくなっても余りある利点があると思えるのではないだろうか?フライパンの上で成形するのに何の苦を感じようか。

以上が解説である

なお、レアを避けるというのを見た目で判断するには色が1番分かりやすいのだが、色はだいたい60-70度くらいで変化する。

60-70度というと、肉汁感が無くなり始める温度と同じくらいだ。やはり色が変わるかかわらないかくらいを目指すということになるだろう。

厚生労働省は中心温度が75以上を1分継続することを推奨していることも増田の保身の為に記しておく。気になる方はD値とかを調べてみると良いだろう。

 

ついでにトラックバックに答えておこう。当然返すのは一回だ。

最後に失礼を承知IDコールをさせてもらったことをここに詫びる。一定期間後に記事からは削除する。

もう一点、妲己ちゃんではなかった事にも詫びを。

記事への反応 -
  • うぬらはハンバーグの作り方がまったくわかっていないようだ。そこでハンバーグの作り方を教えてやろうと思って筆をとる。 そもそもハンバーグとしての利点は以下の2点だ。   1...

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