『このマンガがすごい!2023』の4位になったらしい名作なんだ
月曜にジャンプラで電子版が公開されてたので読んでみたが、めちゃくちゃ面白い!!
そして、続きが読みた過ぎるし、電子版じゃなくて紙の単行本が欲しいわ!ってなったので本屋に行って4巻を買ってしまった
単行本買ったのなんて鬼滅の最終巻以来だよ(ブームの中、最終巻だけ買った)
こんな面白いマンガ、読まずに過ごしていくのは絶対に損だと思うので、プレゼンしていくぞ!
読んだことない人への布教のつもりだから勿論ネタバレには気を付けるけど、面白みの紹介のためには序盤数話分はどうしてもストーリーに踏み込む必要があると思う
そこは申し訳ない
https://shonenjumpplus.com/episode/316190246999430065
…では、いいかい?
「話」と意味は変わらないのだけど、「話」よりも「噺」のほうが「語って聞かせる物語」的なニュアンスが強い漢字となる
現代で「噺」の漢字が使われる場面は「噺家(はなしか)」くらいかなと思う
「噺家」とは物語を語って聞かせる職業の人で、ほぼ落語家と同義語
これは主人公の少女「あかね」の、「あかねに関する物語」という意味と、「あかねの語る落語」という意味のダブルミーニングだと思う
長くなりそうだから章立ててくよ
じゃあ序盤のストーリー、少しだけ要約するよ
志ん太は落語家の階級としては中堅で、最終ランクである「真打」への昇進を目指している
中堅どころなので稼ぎはよろしくなく、妻、つまりあかねの母の稼ぎで家計が成り立っている
父はヒモだとクラスの男児にからかわれてケンカするほど、あかねは活発で気が強く、父を大切に思っている
そしてあかねは家で練習をする父の落語が大好きで、幼いころから父の真似をして、落語に親しんでいた
志ん太は家族のためにも、真打へ昇進するための最終試験に挑むことになる
落語家一門の「阿良川一門」の重鎮たちが揃う中、昇進試験の落語を行ったが、阿良川のトップ、阿良川一生がなんとその日の受験者を全員破門にする
それ以降、志ん太は落語家を続けられなくなり、一般企業に就職し、経済的にはむしろ裕福になった
そしてあかねは高校生になり、父の落語を認めさせるためにも、落語家への道を進んでいく…
というのが第一話
まず、落語マンガではあるのだけど、バトル物かと思うくらい、ライバルやラスボスの描き方がうまい
最後までラスボスがヴェールに包まれてわからないようなマンガも多くあると思うけど、このマンガは第一話からラスボス阿良川一生がはっきりと描かれ、そこに向かってあかねが成長していくような熱い展開となっている
ラスボスを隠すパターンは謎解き感が演出されるのに対して、ラスボスがはっきり序盤で出てくるとそこに到達するときの盛り上がりがすごく熱くなる
父はその後もちゃんと生きているはずだが、マンガではその後単身赴任として描かれず、バトルマンガで言えば「父は阿良川一生に殺された」状態
まあ落語家としては殺されたんだけど
ラスボス阿良川一生と父、またあかねとの因縁がこれ以上なくはっきりしてて、かつ、阿良川一生は落語界最大の重鎮
それに加えて、志ん太の元師匠で、今のあかねの師匠である阿良川志ぐまも、何やら阿良川一生と因縁があるようで?ここははっきり描かれていない伏線になってそう
おそらく中ボスという感じで、あかねと年齢は近いけど、天才的な実力で若くして中堅ポジションに昇格したカリスマ落語家で、阿良川一生の弟子
この辺の演出は本当にバトルマンガ王道物って感じの熱さがあってすごくいい
ジャンプと言えば努力→友情→勝利だけど、あかね噺もそのパターンが組み込まれている
そしてそのサイクルがめちゃくちゃスピーディに展開する!
あかねが壁に当たる→兄弟子のふんわりした助言→あかねの解釈、努力→成長!
だらだら失敗したり、だらだら修行したりしない
何か掴んだ描写があったら、その後の練習は描かず本番に移るので、ダレるタイミングすらない!
こんなにグングン成長していく様子が、読んでて気持ち良くないわけがない!
ここの展開の速さが、このマンガにぐいぐい引き込まれる最大の要因だと思っている
ここまで読むと、王道バトル物をスピーディな展開で飽きさせないだけなのかな、って感じたかもしれない
当然それだけじゃないんだわ
ちょっと専門的になるけど、ここを書きたかったからこの増田を書いているので頑張ってついてきてね
このマンガの最大の魅力は「劇中劇」がふんだんに盛り込まれながらストーリー展開するところだ
「劇中劇」とはなにかというと、「作中作」とか「物語中物語」とかいわれるように、お話の中にさらにお話が入れ子になっている構造を指す
「あかね噺」という物語の中で「饅頭怖い」という落語が語られれば、それは物語の中の物語なわけだ
で、その劇中劇がなんだってんだよ、と思うだろうけど、劇中劇で語られる物語が、外枠の物語とリンクすることで、物語中で語られない意味合いを伏線として提示することもできたり、外枠の物語で登場人物が感じていることを劇中劇の人物がリンクすることで強調したりすることもできる
つまり劇中劇を上手に使えば、本編で深く語らない内容を読者に伝えることができるようになる
「あかね噺」は落語マンガなので当然、物語中に落語を演じる場面が多く出てくる
もちろん知らない人のために、最低限の演目の内容紹介はある
さらっと読むにはそれでじゅうぶん足りているし引っかかりもない
しかし、この劇中劇である落語が分かると、めちゃくちゃマンガの解像度が増すんだ
読者もyoutubeなどで探せばどの落語も全編視聴することができるし、その演目の見せ場や意味も読者はネットで調べて知ることができる
ぜひ、一度マンガを読んだ後、時間がある時に扱われている落語を視聴してもらいたい
そしてもう一度マンガを読んで欲しい
例えば冒頭の場面、あかねの父、志ん太が寄席で演じて、さらに帰宅後にも練習する演目は「大工調べ」という落語だ
これは経済的に貧しくて家賃を滞納した人物が、大家に商売道具である大工道具を取り上げられ、大工の棟梁と一緒に大家に道具を返してくれるよう交渉するという話だ
これは、落語でほとんど稼げない志ん太そのものの立場と重なっているし、商売道具を取り上げられてしまう未来を暗示しているとも読める
(その後最終的には奉行所までいって道具は取り戻すストーリーなので、最終回では大工の棟梁=あかねが父の落語を取り戻す、つまり父の落語(のもっと上の師匠の落語?)を継承するエンドの暗示かもしれない)
日々真面目に働かない亭主がある日、浜で大金を拾ってきて、大酒飲んで寝てしまったので、妻が大金を拾ったのは夢だということにして金を隠し、亭主が真面目に働くように訴える
その日から更生し、財を成したある日、あの時は夢ではなく妻がお金を隠して亭主を騙したことを告白し謝るが、亭主はお前のおかげで身を立て直せたのだと感謝する
そんな人情話だ
これがなかなかすごい
志ん太は芝浜の亭主とは逆で本当にまじめで、家族のために昇進したいと、真面目に芸に取り組んだ試験だったのに、その挑戦は夢と散るという、芝浜のストーリーとは逆の構造を見出せすことができる
しかし、経済的な意味では芝浜と同じで、落語なんて食えないことをやってたのが、夢から覚めてサラリーマンになって稼ぎが増えた、とも言える
この場面の志ん太と、芝浜の対比を考えるだけでいくらでも飲めそうな話になっている
これはこんな話
みんなが何かしら怖いものがあるだろう、と言いあってた時、何も怖いものなんかないと言い張る男がいたので、さらに追及すると、本当はまんじゅうが怖いと言い出した
そして寝込んでしまったので、もっとからかってやろうとみんなでまんじゅうを買い集めて、男の枕元に並べた
起きた男は、怖いーとおびえるふりをしながら美味しくまんじゅうを食べてしまった
怖い怖いと言ったらみんながまんじゅう持ってくるだろうと思っただけで、本当はまんじゅう大好きだった、という話
つまり、怖いものなしの無敵感満載の男が躍動する滑稽話なんだけど、これをあかねが初舞台で堂々とやるわけさ
いやもう、これで終わらずずっとこの調子で色んな落語が出てくる
マンガ読む→落語見る→漫画読み直す→落語見直す→また漫画読み直す、ってサイクルをずっとできる
紙で欲しいね、これは
あとはですね
「三方一両損」って落語があるんだけど、あれ、序盤の掛け合いは面白いんだけど、後半のお奉行様が出てくるところは別に面白くないのよ
それがこのマンガで、真面目過ぎると面白い、みたいに書かれてて、ああ、確かに、そう見ればそうかも、ってなった
おかげでイマイチわかってない落語についてもちょっとわかった気がする
マンガから落語、落語からマンガ、どちらも理解度が増すってめっちゃ得だよね
もう少し魅力を語るならば、落語ってひとりの人物が複数のキャラクターを演じ分ける形態だけど、落語の語りを声色も何もないマンガで見せるわけなので、表情の描き分けなんかも面白い
絵の技術、というか、マンガの技術もしっかりある人じゃないと、このマンガは面白く描けなかっただろうなってのはちょっと思います
作画の馬上鷹将先生、ありがとうございます!
まあそんなわけだ
読んでみて
2話の、落語を止めさせられてよかったね、のくだりを永遠に思い出しては泣いてる
そのあたりのこと、芝浜と絡めて考えるだけでいくらでも語れると思うんだ
「オタク」ってさ、「広報」のごっこ遊びがしたいのかなって思う時がある。 「推し」とかもさ、ツイッターとかで結局やってることってそういうことだよね。 タダで宣伝させて企業は...
好きなもの友達にお勧めしたことはないのか? 見つけたうまいラーメン屋とかさ そういうの「広報」って呼ぶなら、それは広報なんだろうが、だいぶピントがずれてる感じがするわ。...
広報ごっこにしか見えない文体だからねえ 友達にこんな進められ方されたらそいつと縁切るよ マルチの勧誘みたいなものにしか感じないもん
いいぞ。だいぶピントがあってきた。 つまりだな、オタクってのは、友達に作品を進めるのが下手くそな人たちなんだよ。コミュ障というやつだな。
いや、あのさ、だからオタクが無自覚なのはわかってんの。 その無自覚が結局「社員に金を払わせる」の実現になってるよねって指摘してるの。 自覚と客観的な指摘はズレてても別に良...
俺の指摘は、それをオタクに限定する意味がわかんない、全員やってる、だな。 お前なら言われてる意味わかるだろ?
口コミにこんな文体を書くのがオタク以外にどこにいるんだよ。 もうそういう苦しい言い訳良いよ。オタクが変なのは常識なんだからもう諦めなよ。
文体では、行動の本質とか効果変わらないし、なんならオタクでも口コミ上手いやつはいるわけだ。 >オタクは変なのは常識なんだから なんだよバカなだけな難癖野郎かよ...
難癖やろうはお前だろw 話逸らしてばっかw
「より上位のオタクでありたい」みたいなのはどのジャンルにもいるな 創作家や風紀委員になるタイプもいるけどこの増田みたいなのは宣教師タイプで 「俺がこの作品の魅力を一番うま...
誇示したいんなら「さすがあの作品をそんな深く解説できるなんて」が欲しいんだろうけど 布教だからそんなのより「言うから読んでみたら面白かったわ」が欲しいんだと思う
https://anond.hatelabo.jp/20221215153341 ステマのつもりでやってんだろうけど手口がバレバレなんだよな、マジうぜえわ 少年誌では載せられない噺が色々ある以上、早々に限界が来るのは分かり...
いやあ、実にジャンプ的で面白くないね。 絵は悪くないがフォントがジャンプ的で目障り。(説明多すぎぃ) 談志を見立てた師匠。 理由の説明もなし。 女子高生落語家が書きたいん...
あかねは一生に、父を何で破門にしたか問いただすんだぞ めちゃくちゃ熱いぞ
熱い!って押しつけがましいのもジャンプの特徴です。
良くも悪くもジャンプらしいのは間違いない
だから僕はジャンプ漫画が嫌いです。おわり
主人公が男でもまったく物語の魅力が損なわれないから、女子高生落語家を描きたいって感じじゃないけどな ただのアイキャッチで女なだけかと あともう卒業したから女子高生じゃなく...
https://anond.hatelabo.jp/20221215161704 これまで女流の落語家で大成した人物が一人もいないのは厳然たる事実だし、そこには相応の理由・事情もある 亭号にもなってる「三遊」は「飲む・打つ...
あかね囃は、題材は落語だけど、話の展開が完全に少年マンガで、しかもバトル漫画なんだよね 落語マンガといえば、落語心中(アニメ化ドラマ化数々の受賞)、次点で道楽むすこ(夏...
満を辞してこの漫画が完成した、と
あのWeekly週ちゃんの村越さん!!?
アンチの湧き方が売れてる漫画のパターン。 来週号もまたまたまたカラーだし、もう掲載順位はトップ3以内確定。 小学生が読んでも大人が読んでも面白いジャンプの王道。 ただし、...
朝ドラでもちりとてちんやってたし、落語ブームのようなものは定期的にある気はするし、古参ファンは慣れっこなんちゃうかな、とおもうけど、そうでもないのか 落語は能とか歌舞伎...
https://anond.hatelabo.jp/20221216125431 >監修の落語家をよく思ってない勢力が落語業界に少なくないみたいなので 大して知名度のない二つ目が引き受けたら、そりゃまあ「本業で売れるのが先...
稽古つけられてるとは言え、入門前の素人が師匠に許可取っての参加やで プロちゃうで
ハンターハンターのついでに読むことあるけどそんな面白いかな? そもそも髪型とか着物とか言葉遣いとか師弟関係とか諸々ありえないことだらけだし、なんか蘭彩歌うららみたいなホ...
リアリティっつったらハンターハンターもフィクションでしかなくない? こち亀読んで警察にリアリティがないとか言う? MAJORとかドカベンとか読んで野球にリアリティないとか言う? ...
https://anond.hatelabo.jp/20221215152844 漫画にツッコむのも野暮だが、実際の落語界の慣習を踏まえると色々と有り得ない設定が出てくるのは、さすがにいかがなものかと思う 初高座に上がった...