初任給やベースアップの報道が相次いでいるが、実質的には給料アップにはなっていない場合が大半だ。
事例はサイバーエージェント。初任給42万円に月80時間相当の残業代が含まれるというのが騒ぎになった。時給に直したら1750円としょぼい。
JTCによくあるパターン。それまで年間数十万〜百万以上積み立てていた退職金をある年度の入社組からやめて、その分を給料に上乗せする方式。最近になって、求人情報から退職金制度の文言が消えてたり「ライフプラン手当」などカタカナ系の文言が待遇欄にある場合はこれに当てはまる。
代わりに401k制度が導入されることが多いが、掛金は社員側が自分の給料から拠出することになるし、運用責任は社員側にある。また損失がでたら社員の年金が減る。さらに、401kは毎月の掛金の上限があり(5.5万)。退職金積立より少なくなることがデフォだ。
一方で退職金の場合は積立上限は規約で定めれば青天井だし、運用責任は会社側にあり社員側に負荷はなく、運用損失の補填は会社側がやらないといけない。この2つは大きく違う。
それでも退職金の上乗せ(前払い)のほうが良いじゃんという意見もあるが、401kに回せなかった分は普通に所得税住民税社保料が取られるなど、旨味は薄い。一方、退職金は社保料対象外で5年以上同じ会社に在籍していれば課税対象が半額以下になるなど税金が優遇されている。
退職金前払い方式が有利になるのは2〜3年以内で転職を繰り返すケースに限られる。長期雇用であれば退職金制度のほうが有利なのだ。
ソニーなどがやってるパターン。3つの中では比較的良心的で、社員側は業績依存のボーナスへの依存度が下がり、年収の安定度が増すメリットがある。一方、デメリットは月給が増える分、社保料が上がること。またパターン2と同時実施のケースもあるから要注意だ。
見かけの給料アップに惑わされるのではなく、内訳は細かく確認しよう。ベースアップのはずが手取り・生涯年収は減だったりするからだ。
何度も書かんでいいぞ