削減へ舵を切ったのは「幻想」 米国のトランプ政権が今月、新核戦略指針「核態勢の見直し」を公表した。2010年以来最初の見直しであり、この報告書の内容を日本政府は歓迎している。米国の核態勢というとき、それはグローバルな戦略を意味しており、東アジアだけを対象としたものではない。従って、今回の報告書を評価するにあたってもグローバルに見なければならないだろう。 見直しの内容は、小型の新型核戦力への投資を強化し、サイバー攻撃を含む多様な攻撃に対して核の先制使用を躊躇(ためら)わないとするものだった。しかし、その核戦略が抑止力を強化するものかどうかは疑問が残る。報告書は、オバマ大統領が新戦略兵器削減条約(新START)の批准と引き換えに承認した核兵器の近代化計画を大筋継承している。米国の議会予算局の見積もりに従えば、この計画には約1・2兆ドルもかかるという。 旧条約のSTART1では戦略核弾頭が600