とうとう終わってしまった、そんな溜息がそこかしこから漏れてきそうだ。近年稀に見るヒットとなった朝ドラ、その視聴者たちの心の動きについて、作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。 * * * いよいよNHKの朝の顔、「あまちゃん」が最終回を迎えました。録画して1日に2度、3度と繰り返し鑑賞してきた方もいらっしゃるそう。「あまちゃん」にどっぷりと依存してきた方々にとっては、ドラマ終了日は恐怖の日。精神的支柱を失う「あまロス」状態へ。その喪失感におびえているとか。 もはや、ひとつの社会現象と言っていいのかもしれません。放送時間帯が、「心理的なレジャー」となっている。「半沢直樹」に続いて「あまちゃん」と、連続ドラマが人々の心理的平静を維持する「安全装置」と化している。 低調だ、低調だと、長年嘆き続けられてきたテレビドラマ。それがこの大人気ぶり。日本人を救う精神安定剤のような役割まで担ってい