美術出版社の「浮世絵の歴史」に掲載されている北尾重政の《東西南北之美人・東方之美人 仲町 おしま、お仲》が東京国立博物館の浮世絵室(第10室)に陳列されている。下図がそれである。いずれも遊女とおもわれるが、向って左は「おし満」、右は「於仲」と今にその名を残している。美人はトクである。 すぐ左には《東西南北美人・西方之美人 堺町 橘屋内喜蔵、天王寺屋内松之丞》が並んでいる。 その他に、鈴木春信が4点、礒田湖龍斎が2点、鳥居清長2点、喜多川歌麿3点、「いすれ菖蒲か杜若」。ただし今回は恵比寿講、紅葉、砧など深まる秋にちなんだ作品が選ばれていたのだから「いずれ紅葉か楓かな」というべきなのかもしれない。 おもしろいのは歌川広重の《往古うはなり打の図》。先妻が味方を連れて、後妻のところに殴りこむ絵。後妻にもサポーターがついていて、2チームの女性の大乱闘劇。一度観たら絶対に忘れない絵である。美人画の裏に