山元一・吉田徹・曽我部真裕・栗島智明/編『憲法学と憲法学者の〈アフター・リベラル〉』につき、宍戸常寿先生からご寄稿がありました。 ここに公開するとともに、山元一先生からの回答をあわせて掲載します。 2024年8月27日 弘文堂 山元一ほか編『憲法学と憲法学者の<アフター・リベラル>』について 2024/08/10 宍戸 常寿 まず冒頭に断っておきたいが、本書は、憲法学ないし憲法学者に対する内在的・外在的批判を集約した一冊であり、憲法学の一つの画期をなすものとして学術的に評価されるべきである著作である。そのことは言うを俟たない。私自身も、共編者やゲストの方々と問題意識を共有するところも多く、また、その指摘の多くは一研究者として自戒してきたところと重なる点がある。その上でなお、本書には伝統ある法学専門出版社が発刊する学術書としての価値を守るためにも、該当箇所に必要な修正を行わねばならないほどの
講義で扱う時代についての卓れた入門書として、以下の二冊は一読を強くお薦めする。 ・平松義郎『江戸の罪と罰』平凡社ライブラリー、2010年(初刊1988年) ・松沢裕作『日本近代社会史』有斐閣、2022年 必ずしも講義で参照するというわけではないが、単独著者による日本近代法史を対象とした概説書として、以下の三点が挙げられる。 ・石井良助『明治文化史2 法制編』洋々社、1954年 ・川口由彦『日本近代法制史』新世社、初版1998年 ・伊藤孝夫『日本近代法史講義』有斐閣、2023年 史料集・旧法令集として、以下を参照することがある。 ・『日本近代思想大系7 法と秩序』岩波書店、1992 年 ・我妻栄編集代表『旧法令集』有斐閣、1968年 ・『旧法令集 平成改正版』有斐閣、2012年 史料入門として、以下が挙げられる。 ・林屋礼二・石井紫郎・青山善充編『図説 判決原本の遺産』 信山社、1998年
近年目まぐるしく変わる労働法制。水町勇一郎教授(東大社会科学研究所)は、2018年に成立した働き方改革関連法をはじめ、さまざまな労働法制改革に携わってきた。水町教授はどのようにして労働法に出会い、研究してきたのか。政策提言から見えてきた日本の労働政策の課題は。東大退職を前にして聞いた。(取材・撮影=中村潤) 理Ⅱからパートタイム研究へ ――理Ⅱ入学後、法学部へ進学しています 当時バイオテクノロジーが注目を集めていて、理学部や農学部で勉強しようと理Ⅱに入学しました。ただ、理系の勉強がよく分からなくて。理系で研究の道に進む場合、修士・博士課程で約5年はかかることも先が長く感じられました。 元々お金もうけよりは世の中の役に立つ仕事をしたいと思っていたので、理系の道じゃないとすれば、国家公務員になろうと思いました。そうすると、どうやら法学部が1番の近道らしい。進振り(現・進学選択)の点数も足りそう
ビフォア・アフター(before and after) 3月11日、研究室の書籍や資料、そして「わが歴史グッズ」をすべて撤収した。2月から3月にかけて、段ボール詰めの作業を行った。「グッズ」を含めて約200箱になった。4トントラック3台に積み込み、都内某所に運んだ。自宅近くに保存してある書籍がさらに200箱近くあるので、4月下旬に第2陣の引越し便を出す。思えば、2019年正月から書籍・雑誌のバックナンバーなどの整理を始め(直言「雑談(119)「断捨離」と「終活」」)、旧宅の移動式書庫を撤去する際にも、かなりの書籍や資料を処分した。この4月でようやく、5年越しの書籍や資料の整理と移動が一段落する。冒頭2枚の写真は、「歴史グッズ」を展示したわが研究室の「ビフォア・アフター」(before and after)である。前者は、発行部数16万部の『早稲田学報』1239号(2020年2月)に掲載され
新刊著者訪問 第43回 The International Law of Sovereign Debt Dispute Settlement 著者:中島 啓 Cambridge University Press, September 2022 このページでは、社研の研究活動の紹介を目的として、社研所員の最近の著作についてインタビューを行っています。 第43回は、中島 啓『The International Law of Sovereign Debt Dispute Settlement』(September 2022, Cambridge University Press) をご紹介します。 ――まず、この本が出版された経緯について教えてください。 本書は、筆者がスイス(ジュネーブ国際開発高等研究所)留学中に執筆し提出した博士論文をもとに加筆修正したものです。2013年から本主題に関する研
中公新書から出ていた「御成敗式目」が非常に面白い新書でかんたんしました。 御成敗式目成立前後の政治状況、 御成敗式目成立の前提となる荘園史、 御成敗式目の具体的な内容と運用、 そして御成敗式目が武士以外の世界や後の世でどのように受容されていったか等、 内容が多岐にわたりますので知的好奇心があちこち刺激されるのが楽しいですし、中世史好きの方だけではなくて法制史や女性史や室町時代以降の歴史が好きな方にもすすめたいですね。 中世史に興味のある方は、同じ中公新書から出ている「荘園」と一緒に読むといいんじゃないかと思います。 www.chuko.co.jp 御成敗式目は一二三二年、鎌倉幕府三代執権の北条泰時により制定された。源頼朝以来の先例や武士社会の道理(慣習や道徳)に基づくとされ、初の武家法として名高い。主たる対象は御家人だったが、その影響力はやがて全国規模に拡大する。画期的と評されるこの法はど
初版刊行30年、芦部生誕100年に贈る── 憲法の学習は、「芦部憲法」を読むことから始まる。憲法的思考のエッセンスを簡潔かつ平易に語り、世代を超えて読み継がれてきた名著を、1993年の初版刊行から30年、芦部信喜生誕100年を記念して4年半ぶりに改訂。法改正、新立法、新判例、新論点等、この間に生じた憲法変動を反映させた第八版としてここに刊行する。 『憲法 第八版』 芦部信喜 著 高橋和之 補訂 2023年9月8日発売 A5上製 496頁 定価:本体3,400円+税 ISBN:978-4-00-061607-2 今年は芦部先生の生誕100年に当たる。この記念すべき年に本書補訂第八版を読者にお届けできることを喜んでいる。本書は日本国憲法の骨格をなす憲法的思考のエッセンスを簡潔かつ平易に語り、広汎な読者を獲得してきた。日本国憲法は施行七五年を超え、いまや国民の間に強固な定着をみせているが、憲法現
石井紫郎さん(いしい・しろう=東京大学名誉教授・日本法制史、日本学士院会員)17日、肺炎で死去、87歳。葬儀は家族のみで営む。喪主は妻で照明デザイナーの幹子(もとこ)さん。 中世~近世の日本の社会構造に基づき土地所有などを研究。東大法学部長や国際日本文化研究センター教授を歴任したほか、日本学生野… ","naka5":"<!-- BFF501 PC記事下(中⑤企画)パーツ=1541 -->","naka6":"<!-- BFF486 PC記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 --><!-- /news/esi/ichikiji/c6/default.htm -->","naka6Sp":"<!-- BFF3053 SP記事下(中⑥デジ編)パーツ=8826 -->","adcreative72":"<!-- BFF920 広告枠)ADCREATIVE-72 こんな特集も -->\n<!--
<権力闘争の犠牲となる13人を描いたこの物語のなかで、源義経や和田義盛らにはいったん悲劇を回避しうる可能性が示されるが、結局歴史は改変されることなく身を滅ぼしていく。脚本の三谷幸喜がそこに込めた警告とは> 2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が12月18日をもって大団円を迎えた北条義時を主人公とし、大河ドラマではマイナーな時代といえる鎌倉時代が舞台ということもあって視聴率はそこまで振るわなかったが、最新の歴史研究を踏まえつつ大胆な解釈を加える三谷幸喜脚本の完成度の高さもあって、熱狂的なファン層を生み出した。 義時、時政、実衣......「業」の連鎖 この大河はある意味では異色の作品といえる。なぜなら、主人公が悪人として死んでいくからだ。物語当初は生真面目な好青年だった北条義時は、鎌倉幕府勃興期の権力闘争を経験する中で次第に変貌していき、政敵をあらゆる手段で滅ぼしていく冷酷な権力者
近代国家の存立に欠かせないものとして、第一に挙げられるのが憲法です。しかし明治憲法の起草者である伊藤博文は憲法と同時に天皇の物語、すなわち万世一系の「神話」に国家の存立根拠を求めました。結局はそれが仇となって神の国日本は砕け散り、戦後日本は憲法のみを権力の源泉とすることで再スタートを切ります。しかし、人間が物語る存在である以上、神話を消しさることは憲法にもできません。その中で、戦後日本はいかにして憲法秩序を実現してきたのでしょうか。国家と物語の関係を問います。 憲法学という学問は、国家の存立を前提とする学問です。一般的に憲法は統治機構という政府の仕組みの問題と、表現の自由や経済的な自由といった人権論という二つの領域に分かれます。このうち憲法学は特に前者の国家学と密接な関係にあります。およそ国家が存在するところに、憲法は存在します。そこでまずは、国家を成り立たせる上で、憲法がどのように関わっ
◆グローバルな民法の展開において、日本民法学の学理的発展状況を示す、体系書シリーズー第4弾『債権総論』が待望の登場!◆ 民法(債権法)改正の問題点を精緻に分析し、今後の進むべき方向性を提示。グローバルな民法の展開において、日本民法学の学理的発展状況を示す、待望の体系書。判例・学説の分析・検討、比較法的考察、立法趣旨への言及など、民法学の本質的理解を図る。広範な場面で有用な、研究者、実務家など幅広い読者のニーズに応える。 『債権総論(民法大系(4))』 石田 穣 著 【目 次】 ・はしがき ◆第一章 序 論 第一節 序 一 債権の概念/二 債権関係/三 債権の法的性質/四 債権法の法源 第二節 債権者の権限 一 原則/二 例外/三 自然債務/四 債務と責任 第三節 債務者の義務 一 序/二 積極的給付義務、消極的給付義務/三 第一次給付義務、第二次給付義務/四 主たる給付義務、従たる給付義
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