広島、長崎で原爆に遭い生き残った人々がつくった最大の組織、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が今年のノーベル平和賞受賞者に選ばれた。時に痛ましい傷痕を見せながら、核兵器がつくり出した「地獄」を証言することを通じ、二度と核は使われてはならず、廃絶するべきだと訴え続けてきた努力がたたえられた。米軍による原爆投下から来年で80年。体験者はますます少なくなり、記憶と運動の継承がいっそう重い課題となっている。 広島、長崎両県に次ぎ、被爆者健康手帳を持つ被爆者の数が全国で3番目に多い福岡県では、昨年、大学で美術を専攻する学生らが県内在住の被爆者から直接体験を聞き取り、絵画にして残す「被爆体験絵画プロジェクト」が始まった。「言葉では説明し尽くせない『あの日』を具体的に伝えたい」。被爆者の思いに応えたのは、広島や長崎の出身ではない若者たち。縁遠かった戦争を身近な問題として捉えるようになり、平和への願いを