兵庫県庁に長年勤め、西播磨県民局長の要職にあった渡瀬康英さんが、県組織のトップである知事の非を鳴らす内部告発に踏み切った末に、この7月7日、自死を選びました。定年退職目前の60歳でした。この顛末は、日本社会の多くの人の気持ちをざわつかせています。 「内部告発の対象となったパワハラなど種々の疑惑もさることながら、知事の最大の過ちは、渡瀬さんの内部告発に対する前時代的なひどい仕打ちにある」と指摘するのは、ジャーナリストで上智大学教授の奥山俊宏さんです。「兵庫県の対応は公益通報者保護法に違反しており、官庁に限らず企業も含め多くの組織にとって<他山の石>にすべき事例だと考える」という奥山さんが、今回、緊急寄稿しました。 問題の発端~罵詈雑言を重ねる知事ことの発端は、ことし3月27日におこなわれた斎藤元彦・兵庫県知事の記者会見だった。県はこの日、渡瀬さんについて西播磨県民局長の職を解いて総務部付とし