宇野田尚哉・川口隆行・坂口博・鳥羽耕史・中谷いずみ・道場親信 編(影書房/2016年12月/A5判並製366頁) 1950年代、東アジアで朝鮮戦争はじめ再び“熱い戦争”が起きていた時代に、反戦・平和、抵抗と民主主義を模索する人びとの拠点として興った「サークル文化運動」の実践と希求の検証を、10回の合同研究によって練り上げた研究論文集である。論文9本、コラム11本、シンポジウム「サークル誌をどう読むか」の記録からなる。 1940年代後半、戦争から解放されて、詩・小説・ルポールタージュ・版画・幻灯などの創作を通じ、人びとは集い、話し合い、民主主義を創り出していった。朝鮮戦争を背景とする在日コリアンたちの運動も視野に入れつつ、1950年代を中心とした文化運動の多角的な再評価・再検証がなされている。 まず驚嘆するのは、限定された地域や職場における埋もれた文化創作活動とサークル誌が、これほどまでに系