それは、ノスタルジックな未来のすべていまや当たり前のように僕らの世界を包む“現実(2010年代)”は、かつてたったひとりの男/渡辺浩弐が予言した“未来(1999年)”だった——!伝説的傑作にして20世紀最大の“予言の書”が、星海社文庫で“決定版”としてついに復刻。 誰もが物心ついた頃から、額に超小型のカメラを装着している。視界と同じアングルの映像を、毎日、目を開けている間じゅう録画し続けている。幼稚園(ようちえん)の運動会だって、高校の合格発表だって、大学の卒業旅行だって、過去のことは、いつの記憶でもすぐに検索して再生できる。その時の映像を眼球(がんきゅう)に投影(とうえい)して見ることができるのだ。 これは思い出に浸るためだけのものではない。むしろ実用性が、極めて高い。録画をしていない人はどんなひどい目に遭うか、わからないほどだ。クルマにひかれようが暴漢に刺されようが、その時のことをちゃ