東日本大震災から7年が経過しました。あの大津波を教訓に国や自治体は、今後予想される南海トラフの巨大地震などについて、「想定外の被害」が2度と起きないよう、「科学的に最大」とする地震や津波の想定を作っています。しかし、これに一石を投じる研究がまとまりました。それが「海底地すべり」によって局地的に高い津波が引き起こされるというシミュレーションです。これまで謎に包まれてきた「海底地すべり」の実像と、そのリスクを追求し続けるある専門家の思いを紹介します。(社会部記者 島川英介) 「想定ありきでさまざまな対策が進められている現状に、少々、不安を感じています」 この一通のメールが、今回の私の取材のスタートとなりました。 送信者は静岡県にある常葉大学の阿部郁男教授。津波防災の専門家です。過去の津波の歴史をひもとく中で、従来の想定では説明できない現象があると考えるようになったと言うのです。 伊豆半島の西に