頭のよい人が一人いて、「これらの資料はいずれもマネジメントに関係があるのだから、これこれこういう分類のカテゴリーでしわけよう」ということを提案したらしい。他の数人もそれに賛同して、あらかじめ分類ワクがきめられた。そしてそれに従って 、くだんの紙きれを配っている最中であった。これはすでにのべたように 、男性、とくに知識人の陥りやすい独断性の問題である。そこで、この部屋の紙きれ群も、私はばらばらにしてしまった。 この事例のように、理屈の上でわかっているつもりでも、いざ実行というときになると邪道を歩む人がなかなかに多いので ある。それほどまでに 、われわれはいつの間にか 、独断的な分類のワクぐみばかりに取りすがり、事実やその情報の語りかけに素直に耳を傾けようとしない悪習を身につけている。