農産物や加工食品の輸出を促進しようという機運が高まっている。TPP(環太平洋経済連携協定)の議論や海外での日本産品への人気が背景にある。しかし、曖昧な安全基準や不十分な国内制度が食品輸出の壁になっている。 2010年12月、中国・大連に1軒の小さな小売店がオープンした。屋号は「石原製菓」。製菓材料などを販売しているイシハラ(大阪市)の中国進出1号店である。 イシハラはナッツやドライフルーツ、チョコレートなどを菓子メーカーに販売している。企業を相手にした卸売りが事業の中心だ。 国内ではBtoB(企業間取引)のビジネスに徹してきたが、中国では自ら小売りも手がける。国内では製菓材料の販売先となっている菓子メーカーの商品のほか、様々な日本製の食材を仕入れ、中国に輸出。現地の消費者や小売り向けに販売する考えだ。 菓子に限らず食品メーカーには中小規模の企業が多い。少子高齢化が進み、国内市場が縮む中で、