明治期に興った「少女小説」というジャンル。時代や読者により様々な変遷をもたらされてきた「少女小説」を、集英社が発行しているレーベル「コバルト文庫」を軸に語ってゆく評論本。 元々は少女に対する教育のためという色合いが強かった「少女小説」。やがて教育面にとどまらない多様さを見せ始めるも、戦争によりその流れは一度断絶。やがて再開されるもやはり最初は教育的な色が強かったが、やがて読者のニーズに合わせて変化してゆくという流れがなんとも興味深い。コバルト文庫が登場して黄金時代を築いていく一方で、講談社のティーンズハートの隆盛、ファンタジーものの流行、気付けばBLが増え、それもいつしか(少女小説レーベルの中では)廃れてゆき、やがて学園ものが減り、多種多様なレーベルが現れては消えてゆく中、現在は「姫嫁」ブームとウェブ小説、ボカロ小説がメインになりつつある……という、そこそこ少女小説読みである私にとっても、