ああモトグッチだ! ちょっと震えてしまったのは、大磯から西湘バイパスにのってアクセルグリップをひねった2秒後。バルン、バル、バッ、バッバッバッバッバッバーッッッッッッと、いかにもモトグッチ的な定規で太い直線を引くごとき加速。OHV・Vツイン 744ccエンジンはトルクよりも先に、何時までも何処までも感を湧出。ただし52PS/6,200rpmの最高出力を誇っており、決して懐古主義的なエンジンではなく、マナーも素晴らしい。モトグッチとは〝魔法の丸太〟である。 1990年代のはじめに、ミラノ国際モーターサイクルショーの取材でイタリアに行き、せっかくだからミラノの北のモトグッチ本社を訪ね、1000Sを借りフィレンツェまでツーリング取材したことがあります。ナビはおろか、スマホもケータイも、PCすら我が身の回りに無かった頃のその旅は、実にいろいろありました。バイクを借り受け、道に迷いに迷った末なんとか