木曜日。彼女が、夏もそーだったんだけどエアコンをあまりつかわないひとで、もう最近朝にはふとんの外側と内側の温度差がそこから這い出す気力などあっさりカッチリ凍らせてしまいそーだぜってのに、それでもやはりエアコンをなんだか意地のようにつかわない。そのくせ、朝、かけておいた目覚ましが鳴りだして、もう目はすっかりさめているはずだろーに、それでも、じっくりとひとばんかけて人肌にあたためた羊水みたいな空気をふっくら炊きたてご飯かってぐらいにはらんだおふとんを大事に大事に鼻下あたりまでスッポリとかけて目を閉じたまましばらくピクリとも動こうとしない。なんで、ぼくはぼくで、がまんくらべでもないんだけれど、やはり仰向けになってふっくら炊きたておふとんをスッポリかぶったままおとなしく、彼女の様子を左のほほで、ネコがヒゲで空気を感じるみたいに、なんだよまだ起きねーの?とかコッソリうかがいつつ、ああ、あの山はどこの