警察が見た目や人種を理由に職務質問や捜査の対象を選ぶ「レイシャル・プロファイリング」の問題が、日本でも徐々に認知されはじめている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が、日本でこうした理由から頻繁に職質され続ける人々の置かれた現状を取材した。 「別にドレッドヘアが悪いわけではないですけど」 通勤中の人々が東京駅を足早に通り過ぎていくなか、警官が若い黒人男性に丁寧に説明する。「私の経験上ですよ、ドレッドヘア、おしゃれな方って、けっこう薬物を持っている方がいままで多かった」 2021年にアロンゾ・表側(28)が受けたこの職務質問の動画は、日本におけるレイシャル・プロファイリング(人種や肌の色を理由に捜査対象を選別すること)についての議論を引き起こし、警察の内部調査につながった。だが表側にとっては、13歳で初めて職質を受けて以来、ずっと抱え続けている問題の一部にすぎなかった。 「警察はただ自分の仕事を