「男はモテなければならない」という「男らしさ」の固定観念に、いまだ囚われている男性にとって、モテないことは、「男としての敗北」を意味する。それゆえ、現実から目を背け、モテないことを認めようとしない男性も存在する。 54歳の佐藤正さん(2021年春時点、仮名)は、東京の難関私立大学出身、大手ゼネコンで営業部の部次長までのぼりつめたが、プライベートでは女性を「条件」で品定めすることがやめられず、なかなか交際には至らなかった。43歳で入会した結婚情報サービスもわずか半年で退会し、「婚活疲弊」の色を隠せない。 本稿では、佐藤さんのその後と、男性を苦しめる「男らしさ」について詳述する。 ※本稿は、奥田祥子『男が心配』(PHP新書)の一部を再編集したものです。 部下のパワハラ告発で左遷の憂き目に それから数年の間に、佐藤さんは相手探しの気力すらなくなっていく様子が手に取るようにわかった。背景には婚活疲