人間のiPS細胞(人工多能性幹細胞)などを使い、胎児になる前の受精卵(胚盤胞(はいばんほう))に似た形の細胞の塊を作ったと、豪州と米国のチームがそれぞれ発表した。現時点では胎児に育つ可能性はないが、受精卵を使わず人間を作製する研究に将来つながる可能性がある。論文がそれぞれ英科学誌ネイチャーに掲載された。 成長した受精卵に似た細胞の塊を人工で作製し、染色した画像(豪モナッシュ大提供) 豪州のチームは、大人の皮膚の細胞に特殊な処理を施し、若い細胞が持つ様々な細胞に成長する能力を戻した上で、受精卵が成長するのに必要な成分を加えるなどした。 その結果、受精5日後の受精卵に似た構造を持つ細胞の塊ができたという。米国のチームは、ES細胞(胚性幹細胞)とiPS細胞を使って、同様の細胞の塊を作った。 できた塊は、成長した受精卵と遺伝子の働きが似ていたが、成長した受精卵にはない細胞が含まれるなど大きな違いも