江戸から続く、 迷子になる旅館。 「木屋旅館」は江戸時代の頃から三朝の地を見守ってきた。当初は庄屋と旅籠の兼業で営業を始めたが、明治の頃から旅籠が専業になり今に至る。玄関で客を出迎える木の看板は、その当時から受け継がれてきたもの。100年前の窓ガラスも現存しているなど、建物自身がその歴史の深さを物語っている。そんな木屋旅館を訪ねた客は、まず館内の地図を渡される。明治、大正、昭和と、時代ごとに増築を繰り返してきた建物は、とても複雑な造りになっているためだ。 「温泉施設を作ってから、それを保護するようなかたちで増改築を繰り返しているので、間取りが迷路のようになってしまって。2010年には全館が登録有形文化財に認定されました。携帯で館内から『迷ってしまったので迎えに来てほしい』と電話をかけるお客様もいらっしゃいます」と、木屋旅館の御舩利洋さんは言う。実際に地図を見ると本当に迷路のようだ。三階建て