フランスの人気哲学者アンドレ・コント=スポンヴィルは、企業のトップにこう質問するという。「御社の従業員が宝くじで6000万ユーロ(約100億円)を当てたとしたら、何%の人がその後も御社で働き続けますか?」 ほとんどの場合、答えは「ゼロ」だ。「従業員のほぼ全員にとって、仕事は天職でもなければ、喜びでもありません。仕事はただ仕方なくしていることなのです」──「ただし」と彼は続ける。 「人間とはどういう存在なのかを理解できれば、人のやる気を引き出すことができます。そこに哲学の出番があります」 どうやったら「働くモチベーション」を維持できるのだろうか。フランスの管理職向けビジネス誌『クーリエ・カードル』がコント=スポンヴィルに聞いた。 そもそも「モチベーション」とは モチベーションは一種の欲望ですが、実に特殊な欲望だと言えます。それはまず、「行動へと駆り立てる欲望」だからです。次にそれは、「役に立