【天孫降臨】 天地開闢のころ、初めて日が昇る時に、御饌都神(み け つ かみ)と大日靈貴(おほひるめのむち)は、幽けき契を結んで、永く天下を照らし治めることの、言寿ぎをされた。或いは月となり日となり、永く落ちることなく、或いは神となり皇(すめろぎ)となり、常に窮み無かれと。その光が国々を照らし始めて以降、高天原に神とて留れる皇親神漏岐(すめむつかむろき)・神漏美命(かむろみ のみこと)の二神に寄せて、八百万の神たちを天の高市に集へさせ、神たちの神議りにより、「大葦原の千五百秋の端穂国は、吾が子孫の王たるべき国なり。安国と平らけく、我が皇御孫尊(すめみまのみこと)の天降りて知ろし食せ」と、言を依せた。 かく言を依せた国中に荒振る神たちを神祓へ平らけむと、神たちの議りによって諸神が申すには「天穂日命(あめのほひ のみこと)を遣して平けむ」と。そして天穂日命は天降ったが、この神は返り言をすること