多様な異性装の世界 衣服は身分や男女差を可視化できる故に、国家や社会による規制の対象とされることが多かった。異性装はいかなる社会的・文化的背景のもとで行われてきたのか。 日本とアジアを中心に、ヨーロッパ、アフリカなど諸国の異性装の事例を歴史・服飾・美術・ジェンダーなどの側面から照射し、女神の帰依・男巫の儀礼から同性愛・トランスジェンダーまで、多様な女装・男装の実体や異性装禁止命令の変遷を明らかにする。 序論 歴史の中の異性装 服藤早苗 Ⅰ 日本 平安朝の異性装―東豎子を中心に 服藤早苗 中世芸能の異性装 辻浩和 ◎コラム◎軍記絵のなかの異性装 山本陽子 宮廷物語における異性装 木村朗子 日本近世における異性装の特徴とジェンダー 長島淳子 女装秘密結社「富貴クラブ」の実像 三橋順子 女性装を通じた考察 安冨歩 Ⅱ アジア 唐代宮女「男装」再考 矢田尚子 異性装のヒロイン―花木蘭と祝英台 中山