1997年から8年間、私は『季刊・本とコンピュータ』という雑誌の編集室にいた。それまでネットと云えば、パソコン通信しかやったことのない私にとって、インターネットは深い海のようなもので、ヒマさえあれば検索エンジンやリンク集をたどってその海にダイブしていた。いまスマホを操作していても得られないあの頃のワクワクした感覚を、ときどき懐かしく思い出す。古本好きの人が開設したサイトもずいぶん見て、ブックマークに入れたものだ。「閑話究題 XX文学の館」もそのひとつだった。 このサイトは「地下本」の書誌を載せたものだ。この場合の地下本の定義は、「公刊する事を前提としていない出版物の内、性を主題として扱っているもの」となるらしい。艶本、 好色本、春本などとも呼ばれるものだ。 私も地下本らしきものは即売展で見かけていたが、あまり手に取ることはなかった。しかし、このサイトでは梅原北明、酒井潔、伊藤竹酔ら戦前のコ