一瞬で目の前が黒煙に包まれた。「アカン、このままでは死ぬ」。京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」(京アニ、本社・京都府宇治市)のスタジオで起きた放火事件で、スタジオ2階から避難した男性社員(52)が産経新聞の取材に当時の状況を証言した。志を共にし、アニメ制作に励んだ仲間を奪った青葉真司容疑者(41)には「大勢の命と作品の無形の力を失った」と怒りをぶつけた。(小松大騎) 【表で見る】被害者多数の主な火災一覧 ■墨汁のような黒煙 18日午前。1階にはデスクワークなどを行う十数人がいて、2階は男性を含めたデザイナーら約30人が作画などをしていた。3階はアニメーターや監督らがいた。スタジオは普段、人が多く集まり「わちゃわちゃと作業をしている」場所だ。 同10時半ごろ。2階でいつものように作画に当たっていると突然、1階から、誰かが言い争うような声と、「うぉー」という男の怒号が聞こえた。