突然の病により、2024年12月に惜しまれながらこの世を去った書評家の永田希さん。筑摩書房では『再読だけが創造的な読書術である』を刊行させていただいたのみならず、さまざまな場所で小社刊行書をご紹介いただきました。本記事では、文筆家の木澤佐登志さんによる追悼文をお届けします。 永田さんと直接的な面識があったわけではない。私と永田さんの関係、それはあえて言うならば「同期」とでも呼びうる関係だった。いま「あえて」と言ったのは、デビュー時期に一年以上の開きがあるからだ。私が『ダークウェブ・アンダーグラウンド』で単著デビューしたのは二〇一九年の一月。一方で永田さんが『積読こそが完全な読書術である』で単著デビューしたのは二〇二〇年の四月(ちょうど新型コロナウイルスが世界で猛威をふるい始め、日本でも最初の緊急事態宣言が発令されたタイミングだったことを覚えている)。それでも「あえて」同期と言いたくなるのは