首相官邸5階の首相執務室には当月のカレンダーしか張っていない。そう聞いて「やはり」と妙に合点がいった。菅直人首相が「有言実行内閣」を掲げながら何も実現できないのはなぜか。それはスケジュール感覚が決定的に欠落しているからだ。菅首相に限らず、仙谷由人官房長官、民主党の岡田克也幹事長−と政権中枢の多くにこれが欠けている。だから言い出したことを実現できない。というか、実現する術をもたないのではないか。 自民党政権において「政治闘争」とは、一つは多数派形勢を目指してしのぎをけずる「数の闘争」であり、もう一つは「スケジュール闘争」だった。 麻生太郎元首相も、森喜朗元首相も、そして小泉純一郎元首相さえも、頭の中には少なくとも3年先までのスケジュールがたたき込まれていた。衆院任期はいつまでか。参院選はいつか。統一地方選は…。これにサミットなどの外交日程や国会スケジュールを加味し、どの政策をどう打ち出し、ど