[後編]「マイナンバー」実施は絶好の機会、プライバシー保護政策の専門機関を 一橋大学 名誉教授 堀部 政男 氏 一つは事業者が集めた個人にかかわる情報の、目的外利用をきちんと制限することだ。それができていれば、いくらマイナンバーの関係者が多くても、プライバシーが侵害される危険性は低くなる。 もう一つ大切なのは、行政機関の一つとして、個人情報あるいはプライバシーの保護を監督する“第三者機関”を設置することだ。ずいぶん前から訴えかけてきたが、いまだに実現されていない。 第三者機関というのは? 例えば特許に関することなら特許庁、著作権なら文化庁というように、それぞれ担当の行政機関がある。ところがプライバシー権に関しては、独立した専門の機関がない。今の個人情報保護法は、プライバシー保護についての過剰反応を招いた。この失敗の原因は、第三者機関の不在に根ざしている。 もちろん、行政として何もしなかった