新型コロナウイルス感染症対策本部会合で発言する安倍晋三首相(右)。左は加藤勝信厚生労働相=首相官邸で2020年3月10日午後5時38分、川田雅浩撮影 新型肺炎のさらなる拡大で国民を不安にしているのは、唯一の感染判定法であるPCR検査を受けられる体制が整わないことだ。安倍政権の錯誤、専門家会議の鈍さは何に起因するのか。患者と臨床第一に医療体制を批判してきた医師が、収束まで1年以上と予想、身を挺して「不実の構造」を告発する。 収まる気配を見せないコロナウイルス禍。このへんで中間総括が必要ではないか。誰もが不思議に思う謎が二つある。その解明だ。 一つは、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査体制の遅れだ。PCRは、ウイルス感染の有無判定の唯一無二の手段。遺伝子増幅技術を使った簡便検査法で、「測定機械は一般の大学や研究機関、民間の検査企業にかなりの台数がある」(児玉龍彦・東京大先端科学技術研究センター